古くから、やきものに適した原料となる良い土が発見されると、その土地で多くの窯が築かれ、引き継がれてきました。そしてその土地ごとに特色のあるやきものが生み出されてきたのです。
今日、日常的に使われている食器のほとんどは全国の窯で作られている「陶磁器」ですが、一般には「やきもの」とひとくくりで呼ばれています。しかし、原料と製法によって「陶器」と「磁器」に分けられていることをご存じでしょうか?この「陶器」と「磁器」の見分け方や扱い方とその魅力についてお届けします。
ご存じですか?陶器と磁器の違い
出典: e-yamatoya.com
似て非なる陶器と磁器。
普段、食卓や飲食店などで使っている食器の多くはこの二種類です。これを総称して陶磁器と言いますが、一般的にはやきものと呼ばれています。
「陶器と磁器、どちらでもいいじゃないの」と思われるかも知れませんが、実は陶器と磁器では原料や仕上がり、さらには使い方や扱い方にも違いがあります。それぞれの特徴や見分け方を知っておくと、これからの食器選びがさらに楽しくなると思います。
まず、原料が違います
出典: touroji.com
こちらの写真で、左側手前から粉引盃・緑釉湯呑み・小鹿田一輪挿し、この3点は陶器。そして右側手前から青磁盃・白磁湯呑み・白磁一輪挿し、この3点は磁器です。こうし眺めてみると陶器と磁器の空気感の違いが分かるのではないでしょうか。
陶器の素地粘土は有機物を含む「土」からできています。一方、磁器の素地粘土は「石」(陶石)を砕いたものや有機物をあまり含まない粘土からできています。この原料の違いから陶器は「土もの」、磁器は「石もの」と呼ばれています。また素地の色も陶器が有色なのに対して磁器はほぼ白色となります。
また陶器は土の割合が多いため熱を伝えにくく、磁器はガラス質が多く熱を伝えやすい特性があります。つまり磁器の方が早く熱くなり、早く冷めるということになります。
熱伝導だけでなく、焼き方にも違いが!
出典: www.sekiguchi.gr.jp
陶器は通常、1100度~1200度で焼き上げます。焼き上りは柔らかく荒い素地をしています。そのため温かみを感じさせる風情ある器に仕上がります。
磁器は1300度以上で焼き上げます。焼き上がりは硬く、気孔がほとんどない白色の素地をしています。陶器に比べて薄く、軽くて丈夫です。
このように原料の違いと焼成温度の違いが、陶器と磁器の特徴に大きく影響しています。
知っておくと便利!陶器と磁器を見分けるポイント
陶器と磁器にはそれぞれ特徴があります。お気に入りの器を長く使うためにも陶器と磁器の違いを知っておくことは大切です。ここでは簡単に見分けることができるポイントをご紹介します。
1.高台の素地の色と質感で見分ける
高台(こうだい)とは、器を裏返すと見える、器の下についている輪のことで、器の足となる部分です。この高台があることで皿やお茶碗を安定してテーブルや台の上に置くことができます。
出典: www.shiratoriyukari.flop.jp
■こちらは陶器
高台には釉薬がかかっていないので直に土色が見えます。また高台を触ってみるとザラザラした感触があります。そして原料が粘土なので全体に土の色があり、柔らかい感じがします。また器を指ではじくと低く鈍い音がします。
出典: www.shiratoriyukari.flop.jp
■こちらは磁器
釉薬のかかっていない高台は、石のような白色をしています。また高台を触ってみるとツルツルとした感触があり、「石もの」と呼ばれるように硬い感じがします。また器を指ではじくと硬くて薄いので金属質の高い音がします。
2. 釉薬の風合いで見分ける
出典: www.asoview.com
陶器は釉薬のかけ方で風合いを出します。原料が土でできているため素地が少し荒く、釉薬のかかり方にムラが出るのですが、それが器の独特の表情となるのです。またそのムラにより、見た目だけでなく手に持った感じもボコボコした感じがします。
磁器は釉薬を均一にきれいにかけるため、ムラや垂れなどの表情はありません。磁器は釉薬のかけ方で風合いを出すのではなく、絵付けや造形の美しさなどで表情を作っていきます。
3.光にかざした時の透明度で見分ける
出典: goodsfan.jp
写真の器は磁器です。光にあたって若干透けているように見えます。この薄さに作りあげる技術も素晴らしいですが、磁器は硬度が高いため薄手に作ることができるのです。そして薄い磁器は光を通します。これは磁器の原料がガラス質を多く含んでいるためです。
陶器を薄く作るのはとても難しいのですが、もし薄く作ることができたとしても陶器は光を通しません。
陶器と磁器 その魅力と特徴は?
■陶器について
出典: metrocs.jp
厚みがあり温かみのある素朴な風合いが特徴です。吸水性のある粘土質の素地に紬薬を施し、磁器よりも低い温度の1100~1200度で焼成します。
不透光性で、貫入(ひび)などの手作りの良さがあります。 素焼きした後、下絵付け、施柚、本焼きで完成します。
出典: karin2011.exblog.jp
陶器はとても保温性に優れています。陶器と磁器の器にお湯を入れておくと、陶器の方がより長く温度を保ちます。土瓶や土鍋などが良い例ですね。
出典: temaeitamae.jp
土鍋は温まるのには時間がかかりますが、一度温まってしまうとなかなか冷めません。これも陶器の保温性の高さ故なのです。鍋料理がすぐに冷めてしまうのは残念ですからね。金属の鍋などはすぐに温まって良いのですが、火からおろすと急激に冷めてしまいます。
またこの土鍋はお米を炊くのにも適しています。土鍋の保温性の高さがご飯をおいしくしてくれるのです。
■陶器の名産地
益子焼<栃木県芳賀郡益子町周辺>
出典: kankoufan.com
益子駅周辺にはいくつもの窯元と陶器のお店が軒を連ねています。
益子焼は嘉永6年(1853)に笠間の陶工によって開かれたと言われています。現在の益子焼は、この時代に陶芸の技術を学んだ大塚啓三郎氏が窯を開いたのがはじまりとされています。
何よりも素朴な美しさと温かな手触りが特徴です。厚手の素地に茶や黒などの釉薬で大胆な絵付けを施しています。茶器・花器・酒器・皿など日用陶器が多く作られています。
薩摩焼<鹿児島県日置市ほか>
出典: www.kurozyokaya.com
薩摩焼は鹿児島県全域で焼かれる陶磁器の総称です。
文禄・慶長の役(1592年~1593年・1597年~1598年)の時期に藩主 島津義弘に同伴した朝鮮人陶工の指導によって窯が開かれました。鉄分の多い素地に鉄釉をかけた「黒もん」は日用陶器として庶民が利用し、白い素地を用いた「白もん」は藩主の御用達でした。
黒もんは黒薩摩のことであり、多彩な釉の技が特徴です。成分の違う2~3種類の釉を用いて微妙な変化を出しており、味わいのある器として知られています。一方、白もんは白薩摩のことであり、白土を用いて焼かれています。白釉をかけただけのものと錦や金を施した豪華なものが作られています。
萩焼<山口県萩市>
出典: www.city.yamaguchi.lg.jp
萩市は松下村塾の史跡や幕末の長州藩士ゆかりの地として知られますね。萩城址の周りには江戸~明治時代の城下町と武家屋敷の美しい景観が残っています。
毛利輝元は文禄・慶長の役(1592年~1593年・1597年~1598年)の時期に、朝鮮人陶工である李勺光・李敬を伴い帰国しました。萩焼は毛利家が萩に入府した際にこの二人によって1604年ころに、現在の萩市に窯を開いたのがはじまりとされています。
萩焼の初期の作風は白磁に近いものでしたが、その後、楽焼の作風などが加わり独自の個性をもった作品が焼かれるようになりました。 萩焼の大きな特徴は、焼き締まりの少ない柔らかな土味と、高い吸水性にあります。吸水性が高いため長年使っているうちに茶や酒が浸透し、茶碗の色彩が変化していくのですが、これが萩焼の大きな魅力となっているのです。
■磁器について
「土もの」と呼ばれる陶器に対して、「石もの」と呼ばれています。 原料は、石の粉に粘土や石英などを混ぜた陶石です。素地は白く、吸水性はありません。光りにかざすと透ける性質を持っています。1300度以上の高温で焼成します。絵付けを施すため製作には時間がかかります。
吸水性がなく、釉薬をかけているので、長く使っても汚れや臭いがつきにくく、陶器より軽くて耐久性もあるため、日常の器として多く使用されています。
出典: www.con-quest.tv
一般的に焼き物といえば陶器を思い浮かべる方が多いかと思いますが、有名な有田焼や洋食器類は磁器に分類されるものがほとんどです。
出典: aritayaki.ocnk.net
日本で磁器が焼かれるようになったのは、江戸時代初期の1616年頃になってからです。慶長の役(1597年~1598年)の際、佐賀・鍋島藩によって連れて来られた朝鮮人陶工・李参平が有田の泉山に陶石を発見し、窯を開いたのが磁器製造のはじまりとされています。
出典: nichibou.shop-pro.jp
磁器の食器は耐久性の良さから日用として幅広く使用されていますが、繊細な模様の施された芸術的な作品も多く、飾り皿として購入するコレクターもいます。 また、ドイツの老舗「マイセン」の磁器は特にファンの多いブランドでもありますね。 世界で何個というような限定の商品は飾り皿1枚にも高価な金額が付いて販売されています。
■磁器の名産地
有田焼<佐賀県有田市>
出典: e-kihara.co.jp
16世紀末、豊臣秀吉による慶長の朝鮮出兵の際に鍋島直茂が連れ帰った陶工の李参平によって、有田泉山に磁器原料の陶石を発見したのが有田焼の始まりとされています。
酒井田柿右衛門によって白磁の上に柿の実のような赤色を出す「赤絵」の技法が確立すると有田の磁器はヨーロッパの王侯貴族に絶大な人気を得ました。そして多くの有田焼が輸出され、のちにドイツのマイセン窯やフランスのシャンティー窯、イギリスのチェルシー窯などに影響を与えたと言われています。
砥部焼<愛媛県砥部町>
出典: www.e-tobeyaki.com
もともとこの砥部はやきものが盛んな地域でしたが、現在まで続く産業になったのは安永4年(1775)、藩が財源確保のために磁器作りを民に命じたことがはじまりでした。
砥部焼は、柔らかな白磁にとけ込んだ藍色の絵模様はシンプルで飾り気のない線が魅力となっています。絵のモチーフも自然を描いたものが主流です。躍動感あふれる唐草紋、太陽と鶴をモチーフにした太陽紋などが知られています。
九谷焼<石川県金沢市およびその周辺>
出典: otomekanazawa.jugem.jp
九谷の鉱山から陶石が発見され、肥前有田において「焼き物」の技術を学んだ後藤才次郎が明暦年中(1655年~)九谷村に窯を開いたのが古九谷窯のはじまりと言われていますが、1700年代初頭には廃窯になってしまいます。そして約100年後(文化時代)に加賀藩は京都から画家の青木木米を招いて春日山窯を開き九谷焼は再興されました。
古九谷と呼ばれる色絵の産地と年代は美術的、骨董的価値が高いために多くの人に人気があります。また、同じ様式の生産が有田窯でも行われていたことなど謎の多いやきものとしても有名です。
陶器と磁器 知っておきたいお手入れの基本
買ったらすぐにすること
出典: www.momo-natural.co.jp
●陶器
ぬるま湯でさっと洗い、その後、土の目の間を埋めるためにお米のとぎ汁を入れた鍋に器を入れ、30分以上煮沸しします。冷めたら水ですすいで乾かすと茶渋やお料理のシミがつきにくくなります。ただし楽焼は煮沸不可です。
●磁器
そのまま軽くぬるま湯で洗って使います。いきなり熱湯を注ぐのは避けて下さい。
※食器の高台の裏側がザラザラしていたらサンドペーパーで少しこすっておくとテーブルを傷つけません。
食洗機や電子レンジは?
出典: item.rakuten.co.jp
●陶器
電子レンジは「使用可」と書いてあるもの以外は使用しないことをおすすめします。また電子レンジは金銀で模様が描かれているものは、その部分に反応してしまいます。また貫入というひび割れのような模様から割れてしまうこともあるので気を付けてください。
「食洗機OK」と書かれているもの以外は食洗機は使わないようにしましょう。陶器全般、特に貫入があるものはそこから割れやすいので食洗機の使用はおすすめできません。
また陶器は水がしみ込みやすいため、汚れた水につけておくとカビや臭いが発生することがありますので要注意です。つけ置き洗いは不可です。
●磁器
電子レンジは、金銀の絵柄がついていなければ使えます。
食洗機については「食器洗い機OK」と書かれているものなら大丈夫です。金銀がついているものは変色してしまいますので不可です。絵柄も傷つくことがありますから大事なもやお気に入りは手洗いしましょう。
収納・保管方法は?
出典: hokuohkurashi.com
使った後は手早く洗い、よく乾燥させてから収納します。また収納する時には陶器と磁器を重ねるのはやめましょう。磁器は薄くてかけやすいですし、陶器もまた素地が柔らかいため磁器の高台が陶器にあたって傷を付けてしまうこともあります。やむをえず重ねるときは、間に布巾か和紙などを挟んでください。
出典: e-yamatoya.com
似て非なる陶器と磁器。
普段、食卓や飲食店などで使っている食器の多くはこの二種類です。これを総称して陶磁器と言いますが、一般的にはやきものと呼ばれています。
「陶器と磁器、どちらでもいいじゃないの」と思われるかも知れませんが、実は陶器と磁器では原料や仕上がり、さらには使い方や扱い方にも違いがあります。それぞれの特徴や見分け方を知っておくと、これからの食器選びがさらに楽しくなると思います。
出典: touroji.com
こちらの写真で、左側手前から粉引盃・緑釉湯呑み・小鹿田一輪挿し、この3点は陶器。そして右側手前から青磁盃・白磁湯呑み・白磁一輪挿し、この3点は磁器です。こうし眺めてみると陶器と磁器の空気感の違いが分かるのではないでしょうか。
陶器の素地粘土は有機物を含む「土」からできています。一方、磁器の素地粘土は「石」(陶石)を砕いたものや有機物をあまり含まない粘土からできています。この原料の違いから陶器は「土もの」、磁器は「石もの」と呼ばれています。また素地の色も陶器が有色なのに対して磁器はほぼ白色となります。
また陶器は土の割合が多いため熱を伝えにくく、磁器はガラス質が多く熱を伝えやすい特性があります。つまり磁器の方が早く熱くなり、早く冷めるということになります。
出典: www.sekiguchi.gr.jp
陶器は通常、1100度~1200度で焼き上げます。焼き上りは柔らかく荒い素地をしています。そのため温かみを感じさせる風情ある器に仕上がります。
磁器は1300度以上で焼き上げます。焼き上がりは硬く、気孔がほとんどない白色の素地をしています。陶器に比べて薄く、軽くて丈夫です。
このように原料の違いと焼成温度の違いが、陶器と磁器の特徴に大きく影響しています。
陶器と磁器にはそれぞれ特徴があります。お気に入りの器を長く使うためにも陶器と磁器の違いを知っておくことは大切です。ここでは簡単に見分けることができるポイントをご紹介します。
高台(こうだい)とは、器を裏返すと見える、器の下についている輪のことで、器の足となる部分です。この高台があることで皿やお茶碗を安定してテーブルや台の上に置くことができます。
出典: www.shiratoriyukari.flop.jp
■こちらは陶器
高台には釉薬がかかっていないので直に土色が見えます。また高台を触ってみるとザラザラした感触があります。そして原料が粘土なので全体に土の色があり、柔らかい感じがします。また器を指ではじくと低く鈍い音がします。
出典: www.shiratoriyukari.flop.jp
■こちらは磁器
釉薬のかかっていない高台は、石のような白色をしています。また高台を触ってみるとツルツルとした感触があり、「石もの」と呼ばれるように硬い感じがします。また器を指ではじくと硬くて薄いので金属質の高い音がします。
出典: www.asoview.com
陶器は釉薬のかけ方で風合いを出します。原料が土でできているため素地が少し荒く、釉薬のかかり方にムラが出るのですが、それが器の独特の表情となるのです。またそのムラにより、見た目だけでなく手に持った感じもボコボコした感じがします。
磁器は釉薬を均一にきれいにかけるため、ムラや垂れなどの表情はありません。磁器は釉薬のかけ方で風合いを出すのではなく、絵付けや造形の美しさなどで表情を作っていきます。
出典: goodsfan.jp
写真の器は磁器です。光にあたって若干透けているように見えます。この薄さに作りあげる技術も素晴らしいですが、磁器は硬度が高いため薄手に作ることができるのです。そして薄い磁器は光を通します。これは磁器の原料がガラス質を多く含んでいるためです。
陶器を薄く作るのはとても難しいのですが、もし薄く作ることができたとしても陶器は光を通しません。
出典: metrocs.jp
厚みがあり温かみのある素朴な風合いが特徴です。吸水性のある粘土質の素地に紬薬を施し、磁器よりも低い温度の1100~1200度で焼成します。
不透光性で、貫入(ひび)などの手作りの良さがあります。 素焼きした後、下絵付け、施柚、本焼きで完成します。
出典: karin2011.exblog.jp
陶器はとても保温性に優れています。陶器と磁器の器にお湯を入れておくと、陶器の方がより長く温度を保ちます。土瓶や土鍋などが良い例ですね。
出典: temaeitamae.jp
土鍋は温まるのには時間がかかりますが、一度温まってしまうとなかなか冷めません。これも陶器の保温性の高さ故なのです。鍋料理がすぐに冷めてしまうのは残念ですからね。金属の鍋などはすぐに温まって良いのですが、火からおろすと急激に冷めてしまいます。
またこの土鍋はお米を炊くのにも適しています。土鍋の保温性の高さがご飯をおいしくしてくれるのです。
出典: kankoufan.com
益子駅周辺にはいくつもの窯元と陶器のお店が軒を連ねています。
益子焼は嘉永6年(1853)に笠間の陶工によって開かれたと言われています。現在の益子焼は、この時代に陶芸の技術を学んだ大塚啓三郎氏が窯を開いたのがはじまりとされています。
何よりも素朴な美しさと温かな手触りが特徴です。厚手の素地に茶や黒などの釉薬で大胆な絵付けを施しています。茶器・花器・酒器・皿など日用陶器が多く作られています。
出典: www.kurozyokaya.com
薩摩焼は鹿児島県全域で焼かれる陶磁器の総称です。
文禄・慶長の役(1592年~1593年・1597年~1598年)の時期に藩主 島津義弘に同伴した朝鮮人陶工の指導によって窯が開かれました。鉄分の多い素地に鉄釉をかけた「黒もん」は日用陶器として庶民が利用し、白い素地を用いた「白もん」は藩主の御用達でした。
黒もんは黒薩摩のことであり、多彩な釉の技が特徴です。成分の違う2~3種類の釉を用いて微妙な変化を出しており、味わいのある器として知られています。一方、白もんは白薩摩のことであり、白土を用いて焼かれています。白釉をかけただけのものと錦や金を施した豪華なものが作られています。
出典: www.city.yamaguchi.lg.jp
萩市は松下村塾の史跡や幕末の長州藩士ゆかりの地として知られますね。萩城址の周りには江戸~明治時代の城下町と武家屋敷の美しい景観が残っています。
毛利輝元は文禄・慶長の役(1592年~1593年・1597年~1598年)の時期に、朝鮮人陶工である李勺光・李敬を伴い帰国しました。萩焼は毛利家が萩に入府した際にこの二人によって1604年ころに、現在の萩市に窯を開いたのがはじまりとされています。
萩焼の初期の作風は白磁に近いものでしたが、その後、楽焼の作風などが加わり独自の個性をもった作品が焼かれるようになりました。 萩焼の大きな特徴は、焼き締まりの少ない柔らかな土味と、高い吸水性にあります。吸水性が高いため長年使っているうちに茶や酒が浸透し、茶碗の色彩が変化していくのですが、これが萩焼の大きな魅力となっているのです。
「土もの」と呼ばれる陶器に対して、「石もの」と呼ばれています。 原料は、石の粉に粘土や石英などを混ぜた陶石です。素地は白く、吸水性はありません。光りにかざすと透ける性質を持っています。1300度以上の高温で焼成します。絵付けを施すため製作には時間がかかります。
吸水性がなく、釉薬をかけているので、長く使っても汚れや臭いがつきにくく、陶器より軽くて耐久性もあるため、日常の器として多く使用されています。
出典: www.con-quest.tv
一般的に焼き物といえば陶器を思い浮かべる方が多いかと思いますが、有名な有田焼や洋食器類は磁器に分類されるものがほとんどです。
出典: aritayaki.ocnk.net
日本で磁器が焼かれるようになったのは、江戸時代初期の1616年頃になってからです。慶長の役(1597年~1598年)の際、佐賀・鍋島藩によって連れて来られた朝鮮人陶工・李参平が有田の泉山に陶石を発見し、窯を開いたのが磁器製造のはじまりとされています。
出典: nichibou.shop-pro.jp
磁器の食器は耐久性の良さから日用として幅広く使用されていますが、繊細な模様の施された芸術的な作品も多く、飾り皿として購入するコレクターもいます。 また、ドイツの老舗「マイセン」の磁器は特にファンの多いブランドでもありますね。 世界で何個というような限定の商品は飾り皿1枚にも高価な金額が付いて販売されています。
出典: e-kihara.co.jp
16世紀末、豊臣秀吉による慶長の朝鮮出兵の際に鍋島直茂が連れ帰った陶工の李参平によって、有田泉山に磁器原料の陶石を発見したのが有田焼の始まりとされています。
酒井田柿右衛門によって白磁の上に柿の実のような赤色を出す「赤絵」の技法が確立すると有田の磁器はヨーロッパの王侯貴族に絶大な人気を得ました。そして多くの有田焼が輸出され、のちにドイツのマイセン窯やフランスのシャンティー窯、イギリスのチェルシー窯などに影響を与えたと言われています。
出典: www.e-tobeyaki.com
もともとこの砥部はやきものが盛んな地域でしたが、現在まで続く産業になったのは安永4年(1775)、藩が財源確保のために磁器作りを民に命じたことがはじまりでした。
砥部焼は、柔らかな白磁にとけ込んだ藍色の絵模様はシンプルで飾り気のない線が魅力となっています。絵のモチーフも自然を描いたものが主流です。躍動感あふれる唐草紋、太陽と鶴をモチーフにした太陽紋などが知られています。
出典: otomekanazawa.jugem.jp
九谷の鉱山から陶石が発見され、肥前有田において「焼き物」の技術を学んだ後藤才次郎が明暦年中(1655年~)九谷村に窯を開いたのが古九谷窯のはじまりと言われていますが、1700年代初頭には廃窯になってしまいます。そして約100年後(文化時代)に加賀藩は京都から画家の青木木米を招いて春日山窯を開き九谷焼は再興されました。
古九谷と呼ばれる色絵の産地と年代は美術的、骨董的価値が高いために多くの人に人気があります。また、同じ様式の生産が有田窯でも行われていたことなど謎の多いやきものとしても有名です。
出典: www.momo-natural.co.jp
●陶器
ぬるま湯でさっと洗い、その後、土の目の間を埋めるためにお米のとぎ汁を入れた鍋に器を入れ、30分以上煮沸しします。冷めたら水ですすいで乾かすと茶渋やお料理のシミがつきにくくなります。ただし楽焼は煮沸不可です。
●磁器
そのまま軽くぬるま湯で洗って使います。いきなり熱湯を注ぐのは避けて下さい。
※食器の高台の裏側がザラザラしていたらサンドペーパーで少しこすっておくとテーブルを傷つけません。
出典: item.rakuten.co.jp
●陶器
電子レンジは「使用可」と書いてあるもの以外は使用しないことをおすすめします。また電子レンジは金銀で模様が描かれているものは、その部分に反応してしまいます。また貫入というひび割れのような模様から割れてしまうこともあるので気を付けてください。
「食洗機OK」と書かれているもの以外は食洗機は使わないようにしましょう。陶器全般、特に貫入があるものはそこから割れやすいので食洗機の使用はおすすめできません。
また陶器は水がしみ込みやすいため、汚れた水につけておくとカビや臭いが発生することがありますので要注意です。つけ置き洗いは不可です。
●磁器
電子レンジは、金銀の絵柄がついていなければ使えます。
食洗機については「食器洗い機OK」と書かれているものなら大丈夫です。金銀がついているものは変色してしまいますので不可です。絵柄も傷つくことがありますから大事なもやお気に入りは手洗いしましょう。
出典: hokuohkurashi.com
使った後は手早く洗い、よく乾燥させてから収納します。また収納する時には陶器と磁器を重ねるのはやめましょう。磁器は薄くてかけやすいですし、陶器もまた素地が柔らかいため磁器の高台が陶器にあたって傷を付けてしまうこともあります。やむをえず重ねるときは、間に布巾か和紙などを挟んでください。
コツ・ポイント
いかがでしたか?陶器と磁器の性格にこれほどの差があるとは思いませんでした。これからの食器選びやお料理の盛り付け、テーブルセッティングなどに活かせそうでとても楽しみですね。