奥に向かって細長い、鋭角三角形の超変形敷地。
北側を走る線路からの、騒音や振動。
北側斜線をはじめとした、厳しい法的な制限。
そうした様々な条件をすべてクリアしながら、さらに、魅力的で美しい、店舗+二世帯住宅が出来ました。
そんな酒楽和華清乃 のストーリーです。
外観
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
1階が店舗、2階3階が二世帯住宅となっています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
奥に向かって細長い、鋭角三角形の変形敷地。
北側を走る線路からの、騒音や振動。
北側斜線をはじめとした、厳しい法的な制限。
そうした様々な条件をすべてクリアながら、さらに、魅力的で、美しい、店舗と二世帯住宅にしたい、と考えました。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
すぐ裏側を走る電車の騒音や振動を考えて、そうしたことの影響を受けにくい、重たい鉄筋コンクリート造としました。
また、間口が狭く窮屈な敷地の中で、少しでも広さを確保するため、外壁はすべて、最も壁を薄くすることが出来るコンクリート打放しとしました。
ただ、1階の店舗と2階3階の住宅とでは、別の雰囲気にしたいということもあり、同じコンクリート打放しでも、その仕上げ方を、それぞれの部分で変えています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
2階3階の住宅部分は、コンクリート打放しの壁を、汚れが付きにくいという光触媒の塗料で、純白に塗っています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
遠くからでも、お店の存在がすぐにわかるように(しかし、それでいて上品に)、純白の住宅部分は、店舗のための、看板のような役割をしています。
線路側からの視線も意識して、斜めの屋根の部分も同じ色です。
真っ白に塗られた、まるで豆腐のような立体は、ちょっと無重力感のようなものがあり、街中に、ふわりと浮いているような、不思議な感じです。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
住宅部分の、しっとりとした白い壁とは対照的に、1階店舗部分の壁は、あえて、ざらついた質感を出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
この壁は、コンクリート打放しの壁の表面に、わざと、木目のあとを残しています。
2階3階の壁は、遠くから見て美しく目立つように、純白に塗られていますが、下の階の壁は、近くに寄ってみてはじめて、おやっ、という感じでわかるような、微妙な質感を持っています。
浮遊感を持った真っ白な立体である上の部分に対して、下から生え出たような、重い質感を持たせることで、上下の階を対比させようと考えました。
1階は店舗
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
そして、さらに。
木の板を型枠として使い、木目を転写した外壁に対して、店舗の中の壁は、木の板そのものを壁に張っています。
内部と外部は、ちょうど反転したような材料で出来ています。
ネガとポジのような関係です。
建築の内と外、用途の違う上下の階。
それぞれを微妙に仕上げを変えながら、関連づけて、一つのストーリーをつくり出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
店舗内は、突き当たり部分を、行き止まりにせずに、屋外に向かって視線が抜けるようになっています。
ただでさえ奥に向かって細長い店舗を、さらに奥に長く見せることによって、より広く見えるようになっています。
また、側面にも、わずかにとれる敷地の余白を坪庭のように利用して、少しでも、広がりが感じられるように、と計画しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
店舗の中の、木の壁は、奥へ奥へと、誘っています。
ガタガタと、前後に揺れるようにして、屋内になったり、屋外になったり。
裏側には、構造の柱や、照明などを、隠してもいます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
三角形に狭まっていく店の奥の方は、木の壁に囲われ、その先の屋外テラスにもつながった、団体客用のテーブル席になっています。
店内は、入口から奥まで、広々と見通せるようになっていますが、同時に、テーブル席とカウンター席や厨房とは、木の壁によって、さりげなく分けられています。
また、壁や天井の様々な隙間に間接照明を設置し、各スペースに、それぞれの雰囲気をつくり出しています。
2階3階は二世帯住宅
出典: nakama.tamaliver.jp / Nakama Kunihiko Architects
二世帯住宅部分は、ほとんどが、敷地形状をそのまま反映したような、三角形のワンルームとなっています。
奥に長い三角形の、不思議な遠近感による広がりが感じられるように、わざとそのようにしているのですが、同時に、必要に応じて、引き戸によって、いくつかの部分に、仕切ることが出来るようにもしてあります。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
一続きの部屋は、必要に応じて、所々で、引き戸によって仕切ることも出来ますが、天井によっても、それぞれの場所が、なんとなく分かれるようになっています。
天井は、すべて同じ色になっていて、昼間は、その違いがあまりわかりませんが、夜になると、照明によって、それぞれの場所の違いが、浮かび上がります。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地と、厳しい法的な規制(北側斜線)を、そのまま表して、室内は、あちらこちらが斜めになった、不思議な空間になっています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
北側斜線制限によって、室内側に倒れかかっている壁は、そのまま、平らな天井の上まで伸びていきます。
平らな天井と、倒れかかる斜めの壁との隙間は、ハイサイド窓になっています。
このハイサイド窓を使って、最上階にこもりやすい熱を逃がし、部屋の奥まで、光を採り込みます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
低い位置の通常の窓と、ハイサイド窓が、距離をおいて、上下に同時に見えます。
一続きの空間ですが、それぞれの窓が、別々の場所をつくり出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地に建っているため、部屋の方も、細長い形状になっています。
そうしたことからくる窮屈さを減らすために、法律上、床面積に算入されない、出窓を設けました。
その長さ、およそ10メートル。
長さの制限は、法律には、ありませんでしたので。
出窓は、ちょうど、椅子と同じぐらいの高さになっていて、テーブルさえ置けば生活出来ます。
家具を置くと、その分、部屋が狭くなってしまいますので。
屋上へ
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
階段と部屋は、ガラスで仕切られています。
階段の先の、最上部にも、屋上へ出るためのガラス戸が付いていて、そこからの光が、部屋の中まで降ってきます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地を無駄なく使って、出来るだけ広い屋内空間を、つくろうとしているため、庭やバルコニーのような屋外空間を、つくるスペースはありません。
その代わりとして、屋上に、出来るだけ広い屋外空間を確保しました。
屋根の上も、無駄にはしません。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
1階が店舗、2階3階が二世帯住宅となっています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
奥に向かって細長い、鋭角三角形の変形敷地。
北側を走る線路からの、騒音や振動。
北側斜線をはじめとした、厳しい法的な制限。
そうした様々な条件をすべてクリアながら、さらに、魅力的で、美しい、店舗と二世帯住宅にしたい、と考えました。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
すぐ裏側を走る電車の騒音や振動を考えて、そうしたことの影響を受けにくい、重たい鉄筋コンクリート造としました。
また、間口が狭く窮屈な敷地の中で、少しでも広さを確保するため、外壁はすべて、最も壁を薄くすることが出来るコンクリート打放しとしました。
ただ、1階の店舗と2階3階の住宅とでは、別の雰囲気にしたいということもあり、同じコンクリート打放しでも、その仕上げ方を、それぞれの部分で変えています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
2階3階の住宅部分は、コンクリート打放しの壁を、汚れが付きにくいという光触媒の塗料で、純白に塗っています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
遠くからでも、お店の存在がすぐにわかるように(しかし、それでいて上品に)、純白の住宅部分は、店舗のための、看板のような役割をしています。
線路側からの視線も意識して、斜めの屋根の部分も同じ色です。
真っ白に塗られた、まるで豆腐のような立体は、ちょっと無重力感のようなものがあり、街中に、ふわりと浮いているような、不思議な感じです。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
住宅部分の、しっとりとした白い壁とは対照的に、1階店舗部分の壁は、あえて、ざらついた質感を出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
この壁は、コンクリート打放しの壁の表面に、わざと、木目のあとを残しています。
2階3階の壁は、遠くから見て美しく目立つように、純白に塗られていますが、下の階の壁は、近くに寄ってみてはじめて、おやっ、という感じでわかるような、微妙な質感を持っています。
浮遊感を持った真っ白な立体である上の部分に対して、下から生え出たような、重い質感を持たせることで、上下の階を対比させようと考えました。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
そして、さらに。
木の板を型枠として使い、木目を転写した外壁に対して、店舗の中の壁は、木の板そのものを壁に張っています。
内部と外部は、ちょうど反転したような材料で出来ています。
ネガとポジのような関係です。
建築の内と外、用途の違う上下の階。
それぞれを微妙に仕上げを変えながら、関連づけて、一つのストーリーをつくり出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
店舗内は、突き当たり部分を、行き止まりにせずに、屋外に向かって視線が抜けるようになっています。
ただでさえ奥に向かって細長い店舗を、さらに奥に長く見せることによって、より広く見えるようになっています。
また、側面にも、わずかにとれる敷地の余白を坪庭のように利用して、少しでも、広がりが感じられるように、と計画しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
店舗の中の、木の壁は、奥へ奥へと、誘っています。
ガタガタと、前後に揺れるようにして、屋内になったり、屋外になったり。
裏側には、構造の柱や、照明などを、隠してもいます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
三角形に狭まっていく店の奥の方は、木の壁に囲われ、その先の屋外テラスにもつながった、団体客用のテーブル席になっています。
店内は、入口から奥まで、広々と見通せるようになっていますが、同時に、テーブル席とカウンター席や厨房とは、木の壁によって、さりげなく分けられています。
また、壁や天井の様々な隙間に間接照明を設置し、各スペースに、それぞれの雰囲気をつくり出しています。
出典: nakama.tamaliver.jp / Nakama Kunihiko Architects
二世帯住宅部分は、ほとんどが、敷地形状をそのまま反映したような、三角形のワンルームとなっています。
奥に長い三角形の、不思議な遠近感による広がりが感じられるように、わざとそのようにしているのですが、同時に、必要に応じて、引き戸によって、いくつかの部分に、仕切ることが出来るようにもしてあります。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
一続きの部屋は、必要に応じて、所々で、引き戸によって仕切ることも出来ますが、天井によっても、それぞれの場所が、なんとなく分かれるようになっています。
天井は、すべて同じ色になっていて、昼間は、その違いがあまりわかりませんが、夜になると、照明によって、それぞれの場所の違いが、浮かび上がります。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地と、厳しい法的な規制(北側斜線)を、そのまま表して、室内は、あちらこちらが斜めになった、不思議な空間になっています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
北側斜線制限によって、室内側に倒れかかっている壁は、そのまま、平らな天井の上まで伸びていきます。
平らな天井と、倒れかかる斜めの壁との隙間は、ハイサイド窓になっています。
このハイサイド窓を使って、最上階にこもりやすい熱を逃がし、部屋の奥まで、光を採り込みます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
低い位置の通常の窓と、ハイサイド窓が、距離をおいて、上下に同時に見えます。
一続きの空間ですが、それぞれの窓が、別々の場所をつくり出しています。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地に建っているため、部屋の方も、細長い形状になっています。
そうしたことからくる窮屈さを減らすために、法律上、床面積に算入されない、出窓を設けました。
その長さ、およそ10メートル。
長さの制限は、法律には、ありませんでしたので。
出窓は、ちょうど、椅子と同じぐらいの高さになっていて、テーブルさえ置けば生活出来ます。
家具を置くと、その分、部屋が狭くなってしまいますので。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
階段と部屋は、ガラスで仕切られています。
階段の先の、最上部にも、屋上へ出るためのガラス戸が付いていて、そこからの光が、部屋の中まで降ってきます。
出典: www.ac.auone-net.jp / Nakama Kunihiko Architects
細長い三角形の敷地を無駄なく使って、出来るだけ広い屋内空間を、つくろうとしているため、庭やバルコニーのような屋外空間を、つくるスペースはありません。
その代わりとして、屋上に、出来るだけ広い屋外空間を確保しました。
屋根の上も、無駄にはしません。
コツ・ポイント
家づくりには、敷地の状況から、家族構成、予算など、様々な条件があります。
しかし、そうしたことを、単なる制約と捉えるのではなく、その場所、その時でしか出来ない、個性的なものを実現するためのキッカケと考えて、取り組みたいと考えています。