刺繍は何千年も前から行われてきた技術。一針一針縫うのは大変ですが、作品ができあがったときの喜びや質感は何事にも変えられぬものですね。刺繍は国によって模様も色使いもさまざま。チクチク好きさんは新たな技法を学んでみませんか?
世界にはいろいろな刺繍がある!
白いモナリザの正体は?
出典: www.thedesignfarm.com
絵画の中でうっすら微笑む謎の美女といえば、ルーブル美術館に展示されている「モナリザ」。
でも、この作品はなんだかモナリザとは違うような…。顔は似ているけれど、衣服の部分が真っ白です。
では、模写?いいえ、違います。
これは、クロスステッチで作成中のモナリザなのです。クロスステッチといえば、「×」を並べる刺繍図法。単純な組み合わせと糸を駆使し、ここまで似せているのです。
たくさんの技法を見てみよう
出典: www.elisabeth-thoburn.com
刺繍は何千年も前から行われてきた布と糸のおりなす素晴らしい技術です。産業革命のころに機械織が発明されましたが、未だに手で行う手法は消えることなく、人々に受け継がれています。
裁縫は国が違うと方法も色使いも異なります。
今回は「世界の刺繍」に目を向け、美しいステッチの世界に浸ってみましょう。
トルコ
「泣く子も黙るオスマントルコ」で有名なトルコは、文化も花開いた場所でした。私たちが知っている◯◯の手法もトルコが発祥だっとは!
クロスステッチ
出典: amfukiage.jugem.jp
「×」の模様でお馴染みのクロスステッチは、4世紀にトルコで生み出され、ヨーロッパでは18〜19世紀に流行した技法です。日本に入ってきたのは明治の末だとか。
×印だけで造られる模様は今も昔も大人気。クロスステッチは裁縫入門にぴったりの技法です。
クロスステッチの縫い方
単純作業だからこそ均一性が求められるクロスステッチ。動画を観ながら刺し方をチェックしてみましょう。
ノルウェー
ノルウェーは冬の期間が長く、昔から裁縫が冬の楽しみとして行われてきました。電車やバスの中でチクチクする女性もいるほどなのです。
そんな国で生まれた技法は繊細で細やか。じっくりと物事に取り組む国民性が現れているかのようです。
ハーダンガー
出典: yucalico.exblog.jp
ハーダンガーはノルウェーのハンダングルで生まれた技法です。最近日本でも流行っていますね。
ドロンワークの一種であるハーダンガーは、布の織り糸を抜いてかがりながら穴開きの模様を作る技法と、織り糸の数を数えながら刺すステッチで構成されています。
ハーダンガーの縫い方
本を観ただけではわかりづらいのがハーダンガー。動画で刺し方を確認しましょう。手元がUPになっているので大変わかりやすいです。細かい作業が多いので、休み休み気長にやりましょう。
スウェーデン
自然を愛するスウェーデンでは、図案の中に植物や花、動物が盛り込まれる傾向にあります。写実的ではなく、どちらかというとデザイン的なものが多いのが特徴です。
色使いや形はまさに北欧といった風合いです。
ナーベルソム
出典: www.eonet.ne.jp
スウェーデンに1600年ごろから伝わるナーベルソムは、繊細な透かし模様が特徴の白糸刺繍。生地を画びょうで板に押さえ、裏から刺していくという面白いやり方です。
とにかく細かいです。
ツヴィスト
出典: www.kicca.info
ツヴィストはスウェーデンの技法で、左右に進んでいく珍しい手法。草や花、動物など自然のものをモチーフにしています。
タペストリーや額縁に入れてとしてお部屋に飾ると素敵ですね。
イギリス
イギリスでは14世紀ごろまでは教会と一部の王族貴族だけできた特権でしたが、15世紀になると一般庶民の間にも広まりました。
イギリスの技法はすっきりした中に上品な雰囲気を漂わせる図案が多く、スマートな印象です。
ゴールドワーク
出典: vickie-garden.com
ゴールドとシルバーの糸で刺されたゴールドワークはとっても上品で豪華。見栄えのする技法です。
黒い布にステッチを施すとかっこいいですね。
シャドーワーク
出典: plaza.rakuten.co.jp
シャドーワークは、透けるような薄い布に白糸で刺し、模様を影のように透かしてみせる技法です。
イギリスのデザインは本当にシンプルです。
ブラックワーク
出典: kincavelkrosses.wordpress.com
ブラックワークはもともとはスペインで生まれたもの。それがイギリスに伝わり定着しました。
黒一色で布に糸を縫い込むため、非常に線がシャープでシックな雰囲気になります。
ブラックワークの縫い方
ケトルをブラックワークで刺した例です。ケトルに描かれた模様がとってもおしゃれ!動画を参考に同じ模様を作ってみては?
オーストリア
芸術の都ウィーンでは、昔から優雅な音楽と美術が愛されてきました。刺繍も同様で、かわいらしく上品なテイストのものが好まれています。
プチポワン
出典: eglantyne.shop-pro.jp
18世紀にウィーンで生み出された技法です。プチポワンとはフランス語で「小さなステッチ」の意味。絹のキャンバス地に施されたかわいらしい花柄模様は、優美で気品に溢れています。
日本のプチポワン第一人者である久家道子さんのHPには、かんたんなプチポワンの刺し方が載っています。
中国
中国では3,000年も前から刺繍が行われており、周時代の書物『礼記』には記録が残っています。国土の広大な中国では、地域ごとに特色ある技法が継承されています。
その中でも特徴的な4つのものを見てみましょう。
1.蘇繍(そしゅう)
出典: nakanoza.seesaa.net
蘇繍(そしゅう)は髪の毛の9分の1の細さにまで裂いた生糸を使った技法です。写実的なデザインが特徴的で、糸の太さを微妙に変え、独特の光沢感を生み出しています。
蘇繍は両面刺繍されたものも多いでしょう。手が込んでいますね。
蘇繍の縫い方
蘇繍の紹介をしている動画です。描かれた人物や動物が本物のようでびっくりします。
2.湘繍(しょうしゅう)
出典: www.wakuwaku-china.com
湘繍(しょうしゅう)は湖南省長沙を中心に発展した技法です。蘇繍と粤繍の良い部分を取り入れ、色使いが鮮やかで写実的という特徴があります。
湘繍では「虎」と「孔雀」が有名なモチーフです。
3.苗繍(びょうしゅう)
出典: sha77miao.blogspot.jp
中国の少数民族ミャオ族の刺繍は苗繍(びょうしゅう)と呼ばれます。山岳地帯で暮らすミャオ族は自然をモチーフにしたものを使い、五穀豊穣や家内安全を祈ってステッチを施しています。
写実的な蘇繍類とは異なり、象徴的な柄で色使いが派手というのが特徴です。
4.蜀繍(しょくしゅう)
出典: www.china-watching.com
蜀繍(しょくしゅう)は四川省で生まれたもので、中国4大刺繍の1つに数えられています。起源は古く、周の時代にまで遡ります。
サテンとカラーの絹糸を用い、つやつやと輝く絵柄が印象的です。
メキシコ
メキシコの技法はとっても華やかな色使いとユニークなモチーフが特徴的です。写実主義とは正反対のものを制作します。キッシュな柄は女性を中心に人気を集めています。
テナンゴ
出典: mexicozakka.seesaa.net
テナンゴはメキシコの先住民オトミ族が作る刺繍のこと。見た目プリント柄に見えますが、すべて糸で柄を出しています。
自然をモチーフにした図案は人気ブランドエルメスも認めたほど。元気の出る絵柄です。
バングラディシュ
バングラディシュでは使い古したサリーなどの布をいくつも重ね合わせ、刺し子を施してベッドカバーやテーブルクロスに再利用するという手法が行われてきました。
そんなエコなサイクルの中で生まれた技法は色とりどりで自然のモチーフがふんだんに使用されています。
ノクシタカ
出典: www.shaplaneer.org
ノクシタカは刺繍を中央、四隅、縁の順で施していきます。その後、布と同じ色の糸で空いた部分をびっしりと縫い込んでいくというおもしろい手法です。
これは憧れ!刺繍のある暮らし
世界にはいろいろな刺繍の種類がありますね。繊細なものから幾何学的なものまで、人の手で作られているなんて信じられないほどの技術です。
この技術はどんなパーツに使うと効果的なのでしょうか。お手本にしたい案をまとめました。
ファッションに
白地の布に赤とピンクの糸がかわいいトップスです。自分でチクチクした洋服は愛着も人一倍。夏にチャレンジしたいステッチです。
タオルに
パステルブルーのタオル地に白い花とドロンワークを施した例です。シンプルなタオルにちょっと模様を入れるだけで華やかなアイテムに大変身。こういった小さなものから練習すると上達します。
がま口に
クジラやペンギン、ミツバチ、白馬など、自然のモチーフを取り入れたがま口です。がま口って人気ありますよね!こういった工夫をするとかわいいかも。
枕カバーに
寝るのがもったくなくなるようなかわいらしいカバーも一針一針縫い上げました。優しい雰囲気のモチーフを施すと心もほっこりします。
テーブルクロスに
植物がテーマの刺繍はテーブルクロスに多様されています。モチーフの位置は食事の最中邪魔にならない場所がベスト。中央や端っこなどにしてみましょう。
コースターに
シンプルなコースタに単色でお花を添えるとそれだけで北欧風に。単色でもデザイン性があるためおしゃれになります。
クッションに
オリエンタルなムード漂うクッションも、自分で作れば楽しい!ぐるぐる模様は正確な形でない方がむしろ素敵に見えます。
刺繍糸の意外な使い方
刺繍糸は布を装飾するだけでなく、立体的な作品にも生まれ変わります。かんたんに作れる作品をいくつかご紹介します。
まん丸モビール
カラフルな糸を使用した糸玉モビールは、風に揺られてユラユラとかわいい動きをしますね。
心の安定にもぴったりだというモビール。お部屋のインテリアとして人気のアイテムです。
タッセル風ピアス
出典: minne.com
夏にぴったりの大ぶりピアスも糸で作れます。
Tシャツはタンクトップに合わせて思いっきりラフに着こなしたいですね。タッセル風に仕上げることでボヘミアンっぽくなるのもおもしろいです。
ブレスレット
出典: minne.com
花を使用したブレスレットもかわいい!刺繍糸は低刺激でひんやり感もなく、腕に優しいアクセサリー。
お子さんのおしゃれにも一役買います。
ふんわり丸いアクセ
出典: stylestore.jp
刺繍糸を巻いて作るアクセサリーもかわいいですね。
つやのある糸を使えば、光にかざしたときにキラキラ輝きます。まるっとさせて光沢を生み出しやすい形にすることがポイントです。
刺繍糸の収納方法
チクチク好きさんにとって悩みの種は、どんどん糸が増えること!糸は絡みつきやすく、くにゃっとしがち。箱の中でもつれてぐちゃぐちゃになってしまうこともあります。
糸類はすっきり収納が一番!作業をスムーズに行えるよう環境を整えましょう。
ウッドクリップに巻きつける
出典: heatherjslife.blogspot.jp
木のぬくもりが優しいウッドクリップに糸を巻きつけた収納方法です。糸先は挟む部分に挟んであるので使うときに便利。
プラケースに収納
出典: oktak.exblog.jp
プラスチックのケースにきっちり並べると色の微妙な配色もわかりやすいです。
グラデーションでの分別は見た目もきれいで使い易さも抜群。うっとりしてしまいますね。
仕切りプレートで
出典: atelier.woman.excite.co.jp
100円ショップで販売している仕切りプレートをカットし、糸を巻きつけた例です。
仕切りプレートが糸巻き台になるとは100均の人も思わないでしょうね!
これでばっちり!ハウツー本
刺繍を学ぶには教室へ行くのが良いけれど、マイナーな技法は先生を探すのが困難ということも。そんな場合は市販されている本を参考にやってみましょう。
かわいいクロスステッチBOOK
出典: www.amazon.co.jp
小さな図案がいっぱいつまったクロスステッチの本です。見本数は900点以上!初心者さんにぴったりです。
ノルウェーの伝統刺繍
出典: www.amazon.co.jp
ノルウェーの伝統技法ハーダンガーを紹介した本です。
ハーダンガーはシンプルな分、図案が命。お手本となる図案をこの本から学びましょう。
トルコの可憐な伝統レース
出典: www.amazon.co.jp
レースにステッチを施すトルコの伝統的な手法イーネオヤをまとめた本です。イーネオヤは日本人に人気のある技法なんだそう。ブログ村でのカテゴリーも覗いてみてはいかが?
内田桃子のスペイン刺繍
内田桃子のスペイン刺繍
¥1,543 (税込)
内田桃子さん著のスペイン図案&技法を紹介した本です。タラベラやラガルテラの手法を学びたい方に。
アジアのかわいい刺繍
アジアのかわいい刺繍―日本、中国、インド、ウズベキスタン…、伝承のデザインと暮らしにまつわる物語
¥1,944 (税込)
日本・インド・中国・ウズベキスタンなど、アジアの国で行われている図案を紹介した本です。
色とりどりのモチーフに心が動かされちゃう!
ツヴィストソムと北欧刺繍
ツヴィストソムと北欧刺繍
¥1,620 (税込)
ノルウェーの伝統技法ツヴィストソム。素朴なデザインは北欧インテリアが好きな方におすすめです。
家具だけでなく壁に飾るアイテムも北欧にすれば外国感がUPします。
メキシコの刺繍
メキシコの刺繍―キュートな図案の宝庫 かわいい手仕事を訪ねて
¥1,728 (税込)
カラフルでエネルギッシュなメキシコの技法を集めた本です。洋服のワンポイントに入れるとかわいいメキシコ技法は、ファッション好きならやってみましょう。
白いモナリザの正体は?
出典: www.thedesignfarm.com
絵画の中でうっすら微笑む謎の美女といえば、ルーブル美術館に展示されている「モナリザ」。
でも、この作品はなんだかモナリザとは違うような…。顔は似ているけれど、衣服の部分が真っ白です。
では、模写?いいえ、違います。
これは、クロスステッチで作成中のモナリザなのです。クロスステッチといえば、「×」を並べる刺繍図法。単純な組み合わせと糸を駆使し、ここまで似せているのです。
たくさんの技法を見てみよう
出典: www.elisabeth-thoburn.com
刺繍は何千年も前から行われてきた布と糸のおりなす素晴らしい技術です。産業革命のころに機械織が発明されましたが、未だに手で行う手法は消えることなく、人々に受け継がれています。
裁縫は国が違うと方法も色使いも異なります。
今回は「世界の刺繍」に目を向け、美しいステッチの世界に浸ってみましょう。
「泣く子も黙るオスマントルコ」で有名なトルコは、文化も花開いた場所でした。私たちが知っている◯◯の手法もトルコが発祥だっとは!
クロスステッチ
出典: amfukiage.jugem.jp
「×」の模様でお馴染みのクロスステッチは、4世紀にトルコで生み出され、ヨーロッパでは18〜19世紀に流行した技法です。日本に入ってきたのは明治の末だとか。
×印だけで造られる模様は今も昔も大人気。クロスステッチは裁縫入門にぴったりの技法です。
クロスステッチの縫い方
単純作業だからこそ均一性が求められるクロスステッチ。動画を観ながら刺し方をチェックしてみましょう。
ノルウェーは冬の期間が長く、昔から裁縫が冬の楽しみとして行われてきました。電車やバスの中でチクチクする女性もいるほどなのです。
そんな国で生まれた技法は繊細で細やか。じっくりと物事に取り組む国民性が現れているかのようです。
ハーダンガー
出典: yucalico.exblog.jp
ハーダンガーはノルウェーのハンダングルで生まれた技法です。最近日本でも流行っていますね。
ドロンワークの一種であるハーダンガーは、布の織り糸を抜いてかがりながら穴開きの模様を作る技法と、織り糸の数を数えながら刺すステッチで構成されています。
ハーダンガーの縫い方
本を観ただけではわかりづらいのがハーダンガー。動画で刺し方を確認しましょう。手元がUPになっているので大変わかりやすいです。細かい作業が多いので、休み休み気長にやりましょう。
自然を愛するスウェーデンでは、図案の中に植物や花、動物が盛り込まれる傾向にあります。写実的ではなく、どちらかというとデザイン的なものが多いのが特徴です。
色使いや形はまさに北欧といった風合いです。
ナーベルソム
出典: www.eonet.ne.jp
スウェーデンに1600年ごろから伝わるナーベルソムは、繊細な透かし模様が特徴の白糸刺繍。生地を画びょうで板に押さえ、裏から刺していくという面白いやり方です。
とにかく細かいです。
ツヴィスト
出典: www.kicca.info
ツヴィストはスウェーデンの技法で、左右に進んでいく珍しい手法。草や花、動物など自然のものをモチーフにしています。
タペストリーや額縁に入れてとしてお部屋に飾ると素敵ですね。
イギリスでは14世紀ごろまでは教会と一部の王族貴族だけできた特権でしたが、15世紀になると一般庶民の間にも広まりました。
イギリスの技法はすっきりした中に上品な雰囲気を漂わせる図案が多く、スマートな印象です。
ゴールドワーク
出典: vickie-garden.com
ゴールドとシルバーの糸で刺されたゴールドワークはとっても上品で豪華。見栄えのする技法です。
黒い布にステッチを施すとかっこいいですね。
シャドーワーク
出典: plaza.rakuten.co.jp
シャドーワークは、透けるような薄い布に白糸で刺し、模様を影のように透かしてみせる技法です。
イギリスのデザインは本当にシンプルです。
ブラックワーク
出典: kincavelkrosses.wordpress.com
ブラックワークはもともとはスペインで生まれたもの。それがイギリスに伝わり定着しました。
黒一色で布に糸を縫い込むため、非常に線がシャープでシックな雰囲気になります。
ブラックワークの縫い方
ケトルをブラックワークで刺した例です。ケトルに描かれた模様がとってもおしゃれ!動画を参考に同じ模様を作ってみては?
芸術の都ウィーンでは、昔から優雅な音楽と美術が愛されてきました。刺繍も同様で、かわいらしく上品なテイストのものが好まれています。
プチポワン
出典: eglantyne.shop-pro.jp
18世紀にウィーンで生み出された技法です。プチポワンとはフランス語で「小さなステッチ」の意味。絹のキャンバス地に施されたかわいらしい花柄模様は、優美で気品に溢れています。
日本のプチポワン第一人者である久家道子さんのHPには、かんたんなプチポワンの刺し方が載っています。
中国では3,000年も前から刺繍が行われており、周時代の書物『礼記』には記録が残っています。国土の広大な中国では、地域ごとに特色ある技法が継承されています。
その中でも特徴的な4つのものを見てみましょう。
1.蘇繍(そしゅう)
出典: nakanoza.seesaa.net
蘇繍(そしゅう)は髪の毛の9分の1の細さにまで裂いた生糸を使った技法です。写実的なデザインが特徴的で、糸の太さを微妙に変え、独特の光沢感を生み出しています。
蘇繍は両面刺繍されたものも多いでしょう。手が込んでいますね。
蘇繍の縫い方
蘇繍の紹介をしている動画です。描かれた人物や動物が本物のようでびっくりします。
2.湘繍(しょうしゅう)
出典: www.wakuwaku-china.com
湘繍(しょうしゅう)は湖南省長沙を中心に発展した技法です。蘇繍と粤繍の良い部分を取り入れ、色使いが鮮やかで写実的という特徴があります。
湘繍では「虎」と「孔雀」が有名なモチーフです。
3.苗繍(びょうしゅう)
出典: sha77miao.blogspot.jp
中国の少数民族ミャオ族の刺繍は苗繍(びょうしゅう)と呼ばれます。山岳地帯で暮らすミャオ族は自然をモチーフにしたものを使い、五穀豊穣や家内安全を祈ってステッチを施しています。
写実的な蘇繍類とは異なり、象徴的な柄で色使いが派手というのが特徴です。
4.蜀繍(しょくしゅう)
出典: www.china-watching.com
蜀繍(しょくしゅう)は四川省で生まれたもので、中国4大刺繍の1つに数えられています。起源は古く、周の時代にまで遡ります。
サテンとカラーの絹糸を用い、つやつやと輝く絵柄が印象的です。
メキシコの技法はとっても華やかな色使いとユニークなモチーフが特徴的です。写実主義とは正反対のものを制作します。キッシュな柄は女性を中心に人気を集めています。
テナンゴ
出典: mexicozakka.seesaa.net
テナンゴはメキシコの先住民オトミ族が作る刺繍のこと。見た目プリント柄に見えますが、すべて糸で柄を出しています。
自然をモチーフにした図案は人気ブランドエルメスも認めたほど。元気の出る絵柄です。
バングラディシュでは使い古したサリーなどの布をいくつも重ね合わせ、刺し子を施してベッドカバーやテーブルクロスに再利用するという手法が行われてきました。
そんなエコなサイクルの中で生まれた技法は色とりどりで自然のモチーフがふんだんに使用されています。
ノクシタカ
出典: www.shaplaneer.org
ノクシタカは刺繍を中央、四隅、縁の順で施していきます。その後、布と同じ色の糸で空いた部分をびっしりと縫い込んでいくというおもしろい手法です。
世界にはいろいろな刺繍の種類がありますね。繊細なものから幾何学的なものまで、人の手で作られているなんて信じられないほどの技術です。
この技術はどんなパーツに使うと効果的なのでしょうか。お手本にしたい案をまとめました。
ファッションに
白地の布に赤とピンクの糸がかわいいトップスです。自分でチクチクした洋服は愛着も人一倍。夏にチャレンジしたいステッチです。
タオルに
パステルブルーのタオル地に白い花とドロンワークを施した例です。シンプルなタオルにちょっと模様を入れるだけで華やかなアイテムに大変身。こういった小さなものから練習すると上達します。
がま口に
クジラやペンギン、ミツバチ、白馬など、自然のモチーフを取り入れたがま口です。がま口って人気ありますよね!こういった工夫をするとかわいいかも。
枕カバーに
寝るのがもったくなくなるようなかわいらしいカバーも一針一針縫い上げました。優しい雰囲気のモチーフを施すと心もほっこりします。
テーブルクロスに
植物がテーマの刺繍はテーブルクロスに多様されています。モチーフの位置は食事の最中邪魔にならない場所がベスト。中央や端っこなどにしてみましょう。
コースターに
シンプルなコースタに単色でお花を添えるとそれだけで北欧風に。単色でもデザイン性があるためおしゃれになります。
クッションに
オリエンタルなムード漂うクッションも、自分で作れば楽しい!ぐるぐる模様は正確な形でない方がむしろ素敵に見えます。
刺繍糸は布を装飾するだけでなく、立体的な作品にも生まれ変わります。かんたんに作れる作品をいくつかご紹介します。
まん丸モビール
カラフルな糸を使用した糸玉モビールは、風に揺られてユラユラとかわいい動きをしますね。
心の安定にもぴったりだというモビール。お部屋のインテリアとして人気のアイテムです。
タッセル風ピアス
出典: minne.com
夏にぴったりの大ぶりピアスも糸で作れます。
Tシャツはタンクトップに合わせて思いっきりラフに着こなしたいですね。タッセル風に仕上げることでボヘミアンっぽくなるのもおもしろいです。
ブレスレット
出典: minne.com
花を使用したブレスレットもかわいい!刺繍糸は低刺激でひんやり感もなく、腕に優しいアクセサリー。
お子さんのおしゃれにも一役買います。
ふんわり丸いアクセ
出典: stylestore.jp
刺繍糸を巻いて作るアクセサリーもかわいいですね。
つやのある糸を使えば、光にかざしたときにキラキラ輝きます。まるっとさせて光沢を生み出しやすい形にすることがポイントです。
チクチク好きさんにとって悩みの種は、どんどん糸が増えること!糸は絡みつきやすく、くにゃっとしがち。箱の中でもつれてぐちゃぐちゃになってしまうこともあります。
糸類はすっきり収納が一番!作業をスムーズに行えるよう環境を整えましょう。
ウッドクリップに巻きつける
出典: heatherjslife.blogspot.jp
木のぬくもりが優しいウッドクリップに糸を巻きつけた収納方法です。糸先は挟む部分に挟んであるので使うときに便利。
プラケースに収納
出典: oktak.exblog.jp
プラスチックのケースにきっちり並べると色の微妙な配色もわかりやすいです。
グラデーションでの分別は見た目もきれいで使い易さも抜群。うっとりしてしまいますね。
仕切りプレートで
出典: atelier.woman.excite.co.jp
100円ショップで販売している仕切りプレートをカットし、糸を巻きつけた例です。
仕切りプレートが糸巻き台になるとは100均の人も思わないでしょうね!
刺繍を学ぶには教室へ行くのが良いけれど、マイナーな技法は先生を探すのが困難ということも。そんな場合は市販されている本を参考にやってみましょう。
かわいいクロスステッチBOOK
出典: www.amazon.co.jp
小さな図案がいっぱいつまったクロスステッチの本です。見本数は900点以上!初心者さんにぴったりです。
ノルウェーの伝統刺繍
出典: www.amazon.co.jp
ノルウェーの伝統技法ハーダンガーを紹介した本です。
ハーダンガーはシンプルな分、図案が命。お手本となる図案