春は転勤や、入学、新社会人となっての一人暮らしなど物件が1年のうちでもっとも動く時期です。それはもう始まっています。そしてこの時期の特徴が、いい物件は悩んでいるそばから決まってしまうということ。後で後悔しないためにもポイントを押さえて物件探しをしましょう。現役宅建取引士がお手伝いします。
物件探しのコツ
まずはネットで物件の調査
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物件を探す最初の取り掛かりはまずはネットで検索をオススメします。
というのも、飛び込みでいきなり不動産会社に出向いても満足のいく情報が得られるとは限らないからです。
まずは検索サイトから、家賃相場や物件がどんなところにあるかを見てみましょう。
住みたいエリアを決める
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漠然とひと通り見たあとは、住みたいエリアを決めましょう。情報を見るうちに相場がわかってきます。自分が希望するエリアの家賃が高そうならもう少し離れたところで物件を見てみるなどしてみましょう。
一般的に街の中心から遠ざかるほど、また駅から離れるほど家賃が安くなります。
よく見ると、同じ物件を複数の不動産屋さんが掲載、そのわけは…
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検索サイトをよく見ると、同じ物件が複数の不動産会社から紹介されていることが多々あります。この多くは「媒介」となっており、貸主が複数の不動産会社に依頼しているのです。
このような物件は多数の不動産会社が取り扱っているため、問い合わせている最中でも他で決められてしまうといったケースも少なくはありません。
「専任」と記載があればその不動産会社が貸主から専属で依頼を受けている物件となります。
賃貸であれば専属の不動産会社がそのまま管理をしているケースも多いようです。わかりやすくいえばその物件の窓口ということですね。
ネット上の物件情報に惑わされない
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まずは不動産ポータルサイトで物件を探してみましょう。先ほどお話ししたように同じ物件が複数の不動産会社から紹介されているものや、その不動産会社しか紹介されていない物件などあるのがわかります。
また、ポータルサイトでは紹介先の不動産会社のHPにリンクするシステムになっているものがほとんどなので、気になる不動産会社があればHPを覗いてみるのもいいと思います。
その不動産会社がどのエリアに強くて、どんな物件を持っているのかわかります。
HPを持たない不動産会社でも、そのサイト内にPRのページはありますので、参考にしてみましょう。アットホームな雰囲気の不動産会社もあり、昔ながらの不動産屋さんという感じの会社もありで特徴がわかります。
不動産ポータルサイト
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大きいところでHOME’S、SUMMO、athomeなどがあります。地域から検索していくといいですね。
不動産屋さんを選ぶコツ
物件問い合わせはメールで!
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これはいいなと思った物件があれば、まずメールで問い合わせするようにしましょう。メールを送ってから返信の連絡を迅速に行ってくれる会社は社内教育が行き届いているところが多いようです。
物件は生ものです。(業界ではよくこのような言い方をします。)いいと思う物件は誰もがそう思っている物件です。これにしたいと決めたときに迅速に対応してくれる業者でないと、他の方に先を越されてしまいます。
飛び込み訪問はNG
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最初に飛び込みで行くと満足な情報が得られない場合があると言いましたが、それは飛び込みで行った場合、窓口の営業担当が他のお客さまの予約があり、そちらの対応しているとなかなかすぐには対応してもらえない場合があるからです。
また、物件を選んで、内見してというのは思った以上に時間がかかるもの。あらかじめ物件を決めてからスムーズに内見するには、事前に打ち合わせをしておく必要があります。
一概に不動産会社といっても「管理」「仲介」があります
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不動産会社には2種類あり、貸主から委託されて部屋や建物を管理、維持している「管理会社」と、貸主または管理会社から物件の情報を得て入居者を紹介する「仲介業者」があります。
では、どちらの業者から借りた方がメリットがあるのでしょうか?
管理会社のメリット・デメリット
ここでいう「管理会社」とは管理しながらも自ら「仲介」も行っている不動産会社のことです。
純粋に管理だけ行っている管理会社は「仲介業者」に物件の紹介をすることが多く、直接、客付をすることは少ないので、物件の広告を一般向けには行っていないところが多いようです。
メリットとしては、物件を直接管理しているので、契約後もその会社がメンテナンスを一手に引き受けてくれます。
例えば、エアコンが故障したなど入居中のトラブルもその会社に連絡すればいいのでスムーズです。
デメリットは、管理会社(ここでいう管理会社とは仲介業も兼ねている会社のことです)は、自社が貸主から預かっている管理物件を優先的に決めようとしているので、どうしても紹介する場合、管理をしている物件を薦めてきます。
仲介業者のメリット・デメリット
仲介会社のメリットは、紹介する物件が管理物件ではないので、公平な目で物件を選び、紹介してくれるということ。
デメリットは、これは正直いい営業マンとの出会いがポイントになってくるということ。
やはり物件を知り尽くした営業マンが、いち早くお客さまのニーズをつかみ取り、いかにニーズにあった物件を紹介できるかにかかってきます。
そのような営業マンと出会うことが実はいい物件を決めることができる最大のポイントなのです。
物件を見るときのチェックポイント:室内編
日当たり
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間取り図が南向きとなっていても、実際現地に行ってみると南側にびっしり建物が建っている場合もあります。南向きの物件にこだわり過ぎるより、部屋全体の明るさを見るようにしたほうがいいでしょう。
どの方角に窓があるかではなく、今、窓がある位置に将来建物が建つ可能性はあるかどうかをチェックしましょう。
窓がある位置が道路であれば将来建物が建つ可能性はあまりないでしょう。しかし、窓のある位置が空き地、または駐車場だと将来建物が建つ可能性は十分にあります。そうなったときに日当たり具合がどのように影響するのかも見ておくといいでしょう。
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周りに障害物がない場合、東向きだと午前中、西向きなら午後から日が入ります。夏場だと、あまり日が入る南や東よりも北側の部屋が涼しくて快適です。
逆に冬場は北向きは東や南向きに比べ温度が低くひやっとした感じがします。西向きは西日の日差しが結構強いので家具や本棚の本が色あせる傾向にあるようです。
窓から見た景色
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日当たりのチェックと同様、目の前に大きな建物があるかどうか、また隣の建物の距離なども併せて確認し、プライバシーは保てるかどうか確認しましょう。
そして、想定しておかなければならないのが、都心ではいつ高い建物が隣、または側に建つかもしれないということ。そうなったときに角部屋だと日当たりなどの影響は若干悪くなる程度で済みますが、中部屋だとかなり暗くなる可能性もあるということを考えておきましょう。
部屋の広さ
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間取り図で1LDKや2DKなどの部屋数にこだわっていても、案外平方メートルにはピンと来ない方も多いようです。
実際に内見する部屋の広さをみるようにしましょう。
内見するときはメジャーを持参したほうがいいでしょう。寸法図がもらえるならばサイズが記載されていますが、ない場合も多いので、実際におおまかに図ってみましょう。詳細に図ると何件も物件を内見する場合、時間を要してしまいますが、これと決めた物件については実際に持ち込み家具が置けるかどうか確認しておいたほうがいいでしょう。
いざ、家具を置こうとしたときに入らないでは困りものです。
音の問題
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音の問題は極めて個人差があるため、うるさいと感じる音は人それぞれです。特に前面が大きな道路がある場合や、JRが近くに通っている、地域によっては飛行機の騒音など、窓を閉めたときにどれくらい聞こえるか、またそれは許容範囲なのかどうか確認してみましょう。
外の騒音だけではなく、気にして欲しいのは中の音。壁の厚さや床、天井の音の響き具合など慎重に確認しましょう。
外の騒音はそのうち慣れてくるということもありますが、賃貸物件のトラブルで上位を占めるのは近隣の騒音問題です。
スリッパなどの音が響くような造りの建物は注意しましょう。
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また、壁を叩いてみて確認するのが手っ取り早い方法です。
薄い壁だと、叩いたときに「バーン」と壁の向こうまで響く音がします。壁が厚いと「ドン」とコンクリートに音が吸収されます。
部屋の傾き
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内見のときは、ビー玉を持参しましょう。ビー玉を置いて転がらなければ大丈夫。転がるようであれば、その物件は傾いています。
一番の問題は「耐震性」「耐久性」など建物の構造への影響なのですが、傾いた物件にずっといると、平衡感覚に影響が出て具合が悪くなるなどの症状が現れる方もいるのも事実です。
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心配であれば、アプリでも建物の傾きを測定するものがあり、無料版もあるので試してみては?
エアコン
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■エアコンは設置されていますか?また台数は?
もともとエアコンがない部屋で前の入居者が置いていったものである場合、サービス設置品としていることもあります。
サービス設置品とは、自由に使っていいですが、故障やメンテナンスは借主負担ですよということです。
■コンロはガスか、IHか?また何口あるか?
■照明の取り付け位置は?
■インターホンの位置は?きちんと作動するか?
チェックシート形式で記載しましたが、これらのことは押さえておきましょう。
コンセントやテレビ・電話端子の位置、数
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設備と併せてチェックしておきたいのが、コンセントの数と設置場所。家具を配置しようとする場所にコンセントがあるならば、延長コードを使用しなければならなくなります。
また、洗面所など水回りのコンセント位置も確認しておきましょう。トイレにウォシュレットがなく、自分で取り付ける場合、コンセントがあるかどうかも重要になってきます。
また、電話端子やテレビ端子の位置もチェックしておきましょう。
水回り
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洗濯機パンはついているかどうか、またサイズはどれくらいあるか確認しておきましょう。
いざ、設置すると入らないというケースもあります。
また、洗面所の収納もどれくらいあるのか確認しておきましょう。水回りでは使う小物も多いので、収納があまりない場合、取り付けられるスペースはあるかどうかも確認しておきましょう。
トイレの場合、最近はウォシュレット付きの物件も多いので、それの有無も併せて確認しておきましょう。
収納の数、奥行き
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収納の多い物件は家具が少なくて済みますし、スッキリと片付きます。ただし、収納の奥行きも確認しておいたほうがいいでしょう。
モバイル機器などの電波状況
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案外見落としがちなのが、電波状況。部屋中を歩き回って、WiFiなどの電波状況を確認しましょう。
バルコニー
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洗濯物が干せる奥行きがあるかどうか、外から丸見えのバルコニーかどうか。女性の一人暮らしの場合、安心して干せるかどうかも確認しておきましょう。
内装
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床やフローリング、壁などに傷がある場合、入居前に直してくれるのかどうか確認しておきましょう。
現状のままということであれば、退去のときに問題とならないように、契約書に写真を添付してもらうなどお願いしましょう。また、自身でも写真を撮っておくとよいですね。
物件を見るときのチェックポイント:建物編
玄関や廊下まわり
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きちんと清掃がされているか、他の入居者が私物など置いてないかどうか確認しましょう。清掃状態が悪いということは、管理もきちんとされていない、何かあったときの対応が遅いなど考えられます。
家主や管理会社がどのようであるかは清掃状態に一番現れると言えます。きちんと清掃が行き届いているところは対応も迅速という傾向はあるようです。
また、入居者がルーズだと近隣トラブルに発展しかねません。建物を見る=どんな入居者がいるのかを確認するということなのです。
ゴミ置き場
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清掃と同じく、ゴミが散乱しているような物件は入居者のモラルが低いか、管理がずさんか……。またゴミが放置してある物件だと、虫の問題も考えらえます。
ゴミ出しのルールが守れているかどうか確認しましょう。
郵便ポスト
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ダイレクトメールやチラシが散乱しているような物件は管理人がいないか、管理会社が頻繁に見回りに来てない物件の可能性が高いです。
厳しい物件はポスティングチラシを配布している人に管理人が注意しに来ます。そのような物件は安心して住むことができると言えますね。
また、宅配ボックスなどを設置している物件もあるので、宅配ボックスの大きさや個数なども確認しておきましょう。
駐車場・駐輪場の位置
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都心の物件では平面駐車場は少なく、機械式が多くなってきました。車が入るサイズかどうか事前に確認しておきましょう。
あわせて自転車置き場の位置や台数は何台置いていいのか確認しておきましょう。物件によっては、ステッカーを貼ってその物件の自転車であることを証明しないと置けないところもあります。
セキュリティ
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オートロックかどうか、オートロックであっても簡単に侵入できる造りかどうか見ておきましょう。正面玄関はオートロックでも、駐輪場に抜ける道がすんなりと入れるようなつくりは注意が必要です。
また、死角がないかどうかも確認しましょう。
建物の周囲
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物件の周囲の様子も確認しておきましょう。隣の物件と離れているかどうか、出入りしている人たちの様子など見ておきましょう。
物件を見るときのチェックポイント:周辺の環境
最寄駅
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物件概要書に書いてある駅から徒歩○○分、というのは、80m/1分で換算しており、物件から駅までに信号があればその待ち時間などは考慮されていません。
従って記載された時間よりかかる場合が想定されます。
実際に歩いてみて距離は測りましょう。
また、日中と夜とでは人通りもかなり変わってきます。帰りが遅くなる場合、駅から物件までの道中が一人で歩いても安全かどうかできれば夜出向いて確認するようにしましょう。
バスならば本数・始発最終の時間
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地下鉄であれば、頻繁に通っていますが、JRは特急や快速は通過してしまう駅もあります。バスであれば、1時間に1本程度しか来ない停留所もあります。また始発や最終の時間も確認しておきましょう。
スーパーなどの商業施設
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毎日の買い物が便利がいいか、最寄りのスーパーはどこか、コンビニは近くにあるかなど日常生活に必要な商業施設は確認をしておきましょう。
学校・公園
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学校までの距離や近くの公園の様子を見ておきましょう。小さなお子さんがいる場合、公園は毎日遊ぶ場所になります。おそらく小さなお子さんがいらっしゃる家庭で引っ越しする場合は近くの公園というのが一番気になるところですよね。
物件から見える位置に公園があるというのはとても便利です。しかし、家で家事をしたい場合も近所の子どもたちが遊ぶ声が聞こえると行きたいと子どもから催促されることもあり、便利なようで悩む場合もありますね。
病院
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小さなお子さんがいらっしゃる家庭では、近くに小児科があるかどうかは押さえておきたいポイントですね。その他、内科や外科などどこにあるかも合わせて確認しておきましょう。
物件を見た後は決断は早く!
春先の物件の争奪戦は嘘ではない
よく不動産会社の営業マンから「早く決めないと取られてしまいますよ。」と契約をせかされることもあるかと思いますが、1月から3月にかけては、それはあながち嘘ではありません。
1年のうちで最も物件が動くのは1月から3月にかけての春。転勤シーズンで、人の異動が激しい時期に加え、入学シーズンでもあるので、学生の引っ越しもこの時期限定で動きます。
この時期は物件の数がかなり限られてくるので、合格しなくてもとりあえず物件だけは押さえておく学生も多いのは事実です。
なので、不動産会社の営業トークのように聞こえますが、いい物件はすぐに決まっていきます。
どうしようかと悩んで決断したときにはもう遅い……ということにならないように、下準備をしっかりしておき、内見のときには見た物件のどれかで決める意識で臨みましょう。
家賃・敷金・礼金について知っておきたいこと
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物件を内見するうちに、いい物件に出会えば多少家賃が高くてもそこに住みたくなりますよね。ちょっと無理をすれば何とかなる……と。
最初、物件を見る前までは現実的でも、どんどん見るうちにその気になってしまうのも人情。
そこで、ぱっと即決しないで、一度冷静になってみましょう。
家賃はお給料(手取り)の25~30%程度を目安にする
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ステキな物件をみてしまうと、多少生活を切り詰めれば大丈夫!という気持ちになります。
しかし、お給料の半分近くをお家賃で費やしてしまうのは、最初はよくてもどんどん生活が苦しくなっていきます。急な出費や物価の高騰などによりそれは深刻になってきます。
ここで言う「家賃」とは、共益費も含んだ金額のことです。
無理のない生活をするには、家賃はお給料の手取り金額の25%、つまり1/4に抑えておくようしたほうがいいのですが、とはいえ、仮に20万円の手取りだと、5万円の家賃ということになりますね。
そうなれば物件探しも少々厳しくなるので、上限30%くらいを見ておきましょう。
敷金とは?
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賃貸物件を借りるときに最初にかかる費用の中で忘れてはならないのがこの「敷金」です。ひと前昔(15年ほど前)は、敷金は家賃の6ヶ月程度が当たり前でした。実に半年分の家賃ということになりますね。最近では1~2ヵ月くらいになっています。
家を借りている間は預けた敷金には利息などはつかず、退去する際に、未払い賃料や、原状回復といって最初に借りたときの状態に戻す工事(クロスの張り替えや、壊したものがあればその補修、床の清掃、ハウスクリーニングなど)代などを差し引いた残金が借主に戻るというものです。
最近ではこの敷金が「0」という物件も増えてきました。しかし、よく考えておかなければならないのは、退去する際にかかる原状回復費用は実費となるということです。
つまり、最初に預けた敷金で原状回復するのか、または、退去のときに原状回復代金を払わないといけないか……の違いだけで、かかる費用は同じということですね。
礼金の慣習
礼金については、地域性によってずいぶん変わってきます。礼金をとらない地域もあれば、敷金はとらず礼金をとる地域も……。また、地域だけではなく、貸主によっても変わってきますので、一概に地域性だけとは言えません。
敷金と礼金は借主が最初に貸主に払うお金で名前が違うだけで同じものだと思っている方も多いようですが、意味が違います。
先に説明した「敷金」は退去のときに必要額を差し引いた残金は返金されます。
しかし、礼金は借りるときに借主が貸主にお礼として渡すお金なので退去のときに返ってきません。また、礼金を原状回復費用に充当することもできません。
なので、退去の場合は実費で原状回復費用を払わないといけないということになります。
忘れてはならない「仲介手数料」
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仲介手数料とは、不動産会社(仲介会社)に支払うお金です。家賃(共益費は含まない)の1ヵ月分が通例となっています。
よく、仲介手数料半額とうたっている業者もいますが、そのからくりというと……
不動産会社の収入として、借主から頂く仲介手数料と、貸主から貰う広告宣伝費(業界ではADと言っております)の両手がもらえることが多いのです。
仮に10万円の家賃の物件を決めたなら、借主(つまりあなた)から10万円、オーナーさま(貸主)から10万円、合わせて20万円が担当営業の営業数字となるのです。
出典: blog.ieagent.jp
オーナーさまは早く物件を決めて欲しいので、この広告宣伝費を1ヵ月分ではなく、2ヵ月、3ヵ月あげるから早く決めてね!という営業マンにとってはおいしい物件もあります。
当然、広告宣伝費が多いものから決めたくなるのは営業マンとして当然のこと。
また、その物件が専属契約を結んでいるのなら、他の物件よりも優先して決めていかなければなりません。そのため仲介手数料を減額してでも決めたいという意図があるのです。
なので、仲介手数料半額といった物件はそんな背景があるということを含んでおいたほうがいいですね。
ただ、その物件が粗悪なものというわけでは決してなく、あなたがその物件がいい!とマッチングしたなら非常にラッキーなお話ということですね!
家賃交渉はしてみるべき
フリーレント
出典: realestate.yahoo.co.jp
仲介業者は、借主からもらう「仲介手数料」の他に家主からもらう「広告宣伝費」があるというのは前述しました。
しかし、ここにひとつからくりがあり、物件によりますが、家主さんとしては空室があるよりも満室のほうがいいわけなので、例えば1ヵ月間は家賃無料でいいからお客さまを決めてくださいね!とフリーレント期間を1ヵ月、2ヵ月と設けているものもあるのです。
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フリーレントとは、
例えば、家賃を値下げしてほしいと要望があったとします。
「わかりました。」と家賃を下げた場合に起こりうるトラブルとして、すでに高い家賃で入居している方からのクレームです。
なので、紹介媒体に安易に安い賃料で広告掲載するのはためらうのです。
実際に借りようかと検討している人が家賃交渉をしてきたときに、家賃をまけるかわりに、1ヵ月分の家賃を免除しましょう。(半年の場合もたまにあります)というのがフリーレント。読んで字のごとく無料で借りるということなのです。
フリーレントと広告宣伝費の関係性
家主側からすれば、FR(フリーレント)で1ヵ月免除しようが、その分を広告宣伝費として仲介業者に渡そうが、要は早く借り手がつけばいいわけです。
なので、FR(フリーレント)とAD(広告宣伝)はどう操作してもいいですよ、と仲介業者にゆだねます。
例えば、FR(フリーレント)2ヵ月の物件を決めた場合、借主がフリーレントを適用せず通常の契約を交わした場合、営業マンの営業数字は、借主からの仲介手数料の1ヵ月分、貸主からのAD(広告宣伝費)2ヵ月分。合計3ヵ月分となるのです。
賃料交渉が厳しいならフリーレントの申し出を!
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最初からフリーレント1ヵ月とうたっている物件もあれば、そうでない物件もあります。
家賃の値交渉が難しいならば、ぜひフリーレントを申し出してみてください。
仮に10万円の家賃で、2ヵ月のフリーレントの場合、月の家賃が1年間8万3千円になったと同じことになります。これはかなり大きいですよ。
フリーレント適用になったら……
そして、晴れてフリーレント適用となった場合、1ヵ月、または2ヵ月の家賃が無料になります。そうなれば初期費用が抑えられるので嬉しいですね。
しかし、喜んでばかりではありません。知っておきたいデメリットとして、もしフリーレント適用して、所定の期間より短い期間で退去する場合、解約違約金が発生するということです。
違約金はフリーレントの月数×月額家賃と設定されているところが多いです。
なので短期しか借りないとわかっている方、頻繁に引越しをする方には向いていません。
住宅保険・火災保険・地震保険は必須
出典: pixta.jp
物件が決まり契約が進んでいくと、火災保険加入義務ありとうたっている物件も多いです。特に住宅の賃貸であればほとんど必須項目となってきます。
火災保険って本当に必要なのでしょうか?
ざっくり言えば、自分の過失で部屋を燃やしてしまった場合、現在の日本の法令では失火責任法というものがあり、隣や周りの人に被害を及ぼしても賠償責任は負わなくてもいいようになっています。
しかし、部屋を退去する際に原状回復義務があり、部屋をもとの通りに戻して家主に返還しなければなりません。火災保険に入っていなければ、それはあなたが支払わなければならないのです。
出典: mama.woman.excite.co.jp
また、逆の立場で考えてみればお分かりかと思いますが、仮に隣の人が火元であなたの部屋にも火がおよび家財道具一式失ったとしても、隣の人に賠償を求めることはできないのです。
なので火災保険ははいるようにしましょう。
不動産会社では大抵は保険の代理店となっており、その商品を当たり前のように契約するように勧めてきます。
特に問題なければそれでもいいのですが、これは義務ではありません。
自身で加入したい保険会社の商品があればそれに加入して加入した証拠(申込書の写し、証書の写しなど)を添付すれば大丈夫なところも多いので、不動産に確認しましょう。
保証会社について
連帯保証人が必要
出典: www.popupangels.com
契約にあたっては連帯保証人が必要となってきます。賃貸借契約で求められるのが「連帯保証人」であり、「保証人」とは大きな違いがあります。
例えば、借主が家賃を滞納した場合、保証人であれば、「滞納している家賃を代わりに払ってください」と請求が来ても、「借りている本人に言ってくれ」と突っぱねることができます。
一方、連帯保証人の場合は、借主とまったく同じ責任を負わなければなりません。つまり滞納した家賃は連帯保証人が払わないといけないということです。
このように非常に重たい責任を負う連帯保証人は、たとえ親でも収入が少ない場合はなれないこともあるのです。
家賃保証会社を必須とするところも……
最近では、保証会社を必須とする不動産会社も増えてきています。
それは、貸主や管理会社にとって家賃の滞納リスクを軽減できるからです。また借主にとっても連帯保証人が不要となるメリットがあります。
ただし、当然ながら保証料がかかります。これは家賃保証会社によって異なりますが、家賃の半月分~1ヵ月分、家賃の30%~70%までとさまざまです。
また、滞納した家賃は保証会社に返還しなくてはなりません。
重要事項の説明~契約まで
重要事項の説明とは
出典: www.excelabout.com
物件が決まり、入居申込書を出したら審査が行われます。審査が通ったら晴れて契約の手続きに入ります。
契約の前に宅地建物取引士が宅建取引士証を提示して「重要事項の説明」が行われます。このときに疑問点はしっかり聞くようにしましょう。
必ずしも担当の営業マンが重要事項の説明をしてくれるとは限りません。そのときだけ、資格をもった社員が説明にあたることが多いです。
(営業マンも取得を目指していますが、持っていない方も多いのが現状です)
なので、担当営業マン以外の社員がこのときだけ現れて説明し出しても、これはよくある光景なので不審に思わなくても大丈夫です。
契約時に注意すべきこと
出典: www.kurachic.jp
重要事項の説明と契約書の取り交わしは同時に行われることも多いようです。その流れで鍵の引き渡しとなります。
鍵を受け取れれば晴れてその物件はあなたの住まいとなります。
その際に必要書類の漏れや、契約書の不備(印鑑の押印漏れなど)があると、お部屋の鍵を渡してもらえないという事態になります。
段取りした引っ越しも狂ってしますので、契約書類の確認はきちんとしておきましょう。
出典: siliconangle.com
物件を探す最初の取り掛かりはまずはネットで検索をオススメします。
というのも、飛び込みでいきなり不動産会社に出向いても満足のいく情報が得られるとは限らないからです。
まずは検索サイトから、家賃相場や物件がどんなところにあるかを見てみましょう。
出典: ahmiosho
漠然とひと通り見たあとは、住みたいエリアを決めましょう。情報を見るうちに相場がわかってきます。自分が希望するエリアの家賃が高そうならもう少し離れたところで物件を見てみるなどしてみましょう。
一般的に街の中心から遠ざかるほど、また駅から離れるほど家賃が安くなります。
出典: www.appannie.com
検索サイトをよく見ると、同じ物件が複数の不動産会社から紹介されていることが多々あります。この多くは「媒介」となっており、貸主が複数の不動産会社に依頼しているのです。
このような物件は多数の不動産会社が取り扱っているため、問い合わせている最中でも他で決められてしまうといったケースも少なくはありません。
「専任」と記載があればその不動産会社が貸主か