バジルは、トマトソースに刻んで入れるだけで本格イタリアンにしてくれるスグレモノ。スーパーなどでフレッシュハーブとしてよく見かけますが、高嶺の花的存在です。実はバジルは種も苗も安価で、キッチンの片隅でもぐんぐん育ちます。はじめてでも失敗なしでできるバジルの育て方をご紹介します。
バジルについて
バジルは、古代ギリシアでは王侯貴族の香水や薬に使われていたことから「王様のハーブ」と呼ばれていました。
「バジル」は英語名、「バジリコ」はイタリア語名です。バジルには和名もあって、「めぼうき」と呼ばれていました。バジルは本来は多年草ですが、日本では一年草として扱われています。インド・熱帯アジア産のハーブです。
出典: okimasa.blog.so-net.ne.jp
現在、日本国内で広く流通しているのは、画像のスイートバジルです。
バジルの種類
日本国内で一般に「バジル」として流通し、食用に使われているのは「スイートバジル」です。しかし、実際はバジルにはおよそ150種類の栽培品種があります。イタリア料理で使われるバジルは、スイートバジルとジェノベーゼバジルが主流です。
出典: rindiary.exblog.jp
■ジェノベーゼバジル(ジェノバ・バジル)
「イタリアンクラシコ」とも呼ばれます。
ジェノベーゼソースに使う本来のバジルはこちらのジェノベーゼバジルです。葉の形がスイートバジルとは若干異なります。バジルペーストを作るのに最適とされています。
開花後も葉の風味が落ちない品種です。
バジルは昔から
イタリア料理の人気によって広く普及してきたバジルですが、かつて日本でも、「目箒(めぼうき)」と呼ばれて、水で浸した種で目に入ったごみを取り除いていました。日本でも古くから生活の中に密着していたハーブでした。
インド風水で最強の吉兆植物
西洋では神聖なハーブと呼ばれるホーリー・バジル(セイクリット・バジル)は、インドではトゥルーシー(比類なきもの)と言われているハーブです。空気を清め、優れた薬効を持ち、万病に効くといわれています。体を温め、浄化してくれます。トゥルーシー茶として世界中で愛飲されています。
インド風水学で最強の吉兆植物と言われているのは、このホーリーバジルを指しています。
出典: tubokusa.com
バジルの花言葉
バジルの花言葉は『好意』『好感』です。
バジルは香りも強く、精神高揚効果があり、食欲増進、消化促進効果も期待でき、心身の疲労回復にも効果があるとされています。世界中で愛され、大切に扱われていたバジルは、フレッシュな香りで癒してくれるだけでなく、幸せの運び手になってくれます。
バジルのキホン
バジルは品種が多く、それぞれの栽培方法には違いのある部分もあり、全部について論じきれません。
一般的に日本において「バジル」として、食用として広く愛用され流通しているのはスイートバジルなので、ここではスイートバジルについて紹介していきましょう。
種まき・生育時期
バジルの種まき時期は4~6月とされています。バジルの発芽温度は20℃と高めです。寒さで枯れる一年草として扱うハーブなので、育てる地域の温度条件によって、種まき時期を調整する必要があります。遅霜がおりて枯れてしまうことがあるので、十分暖かくなってから種まきしましょう。
寒くなると枯れてしまうので気温が20℃以下になるまで繰り返し収穫することができます。
苗もリーズナブル
バジルの種は100均でも販売されています。ダイソーで二袋100円です。
苗も100円前後からホームセンターや園芸店で販売されています。葉がしっかり茂りながら、葉と葉の間隔が短めで、茎が太めの、下のほうの葉が黄色くなっていないような苗を選びましょう。
びっくり!買ってきた葉先でも育つ?
フレッシュハーブとしてスーパーの野菜売り場でも売られているバジルの枝葉を水に挿しておくと根が出てきます。
それを培養土に植えたり水栽培したりするとぐんぐん育つので、どんどん葉を収穫することができます。
バジルは乾燥したものより、生のもののほうが香りが強いので、料理に使って余った枝葉は、刻んでおくより、育てて増やしてみましょう。
おひさまと水が好き
バジルはインド・熱帯アジア産のハーブなので、暑さに強いハーブです。乾燥には弱いので、水切れすることがないように、夏場は特に注意が必要です。水切れすると枯れてしまうのでたっぷり目に水やりしましょう。ただし、鉢皿などに水をためると根腐れするので、鉢皿にたまった水は捨てましょう。
日当たりの良い場所で育てるとよく育ちますが、室内にずっと置いていたものを夏の直射日光のもとに急にさらすと葉やけしたり、場合によっては枯れてしまうので、室内栽培のものを外に出すときは徐々に慣らしていきましょう。
肥料はたっぷりと
ハーブは一般的に多肥を嫌うものが多いのですが、バジルは肥料を切らさないほうがたくさん葉を茂らせてくれます。液体肥料を与える場合は、1週間に1回ずつ与えるようにしましょう。緩効性の固形肥料を与えても効果的です。
食べるものだから、有機肥料をと考える方も多いかと思います。有機肥料はにおいが強く虫を呼び込みやすいので、室内栽培以外の方法で育てるときに用いるようにして、虫のチェックをしっかり行うようにしましょう。
収穫量UPのコツは『摘心』
バジルが20cmくらいまで育ってきたら、芽先を大胆にカットしましょう。下から3節目くらいで葉の上を切り取ります。摘心することで、そこからわき芽が複数でてきます。そのわき芽も伸びてきたら摘心すると、やはり複数のわき芽がでてくるので、こんもり茂ったバジルに育てられ、葉の収穫量がUPできます。
大胆に切ると、わき芽がほんとうにでてくるかどうか心配になるかと思います。この辺かな、と思う葉の付け根を見てください。そこに、小さな芽がついているはずです。それがわき芽になるので、芽がついている葉の上の部分の茎を切ればOKです。
NHK『趣味の園芸』でもおなじみの寄せ植え作家『上田広樹』さんの摘心のし方の動画があります。切っているのは今回はバジルではありませんが、とても分かりやすい説明なので、参考になります。
摘芯(てきしん)とは?
室内でも育てられる?
明るい日差しがたっぷりと入るような場所で育てるようにしましょう。室内でも十分生育ができますが、日当たりが悪いと生育が悪くひょろひょろとしやすくなってしまいます。置き場所はよく日が当たる場所を選んでください。
寒くなると枯れてしまうバジルなので、温かい室内であれば、より長くフレッシュハーブを楽しむことができます。花が咲いた後は葉が固くなりやすいので、なるべく花は咲かせないで摘み取るようにしましょう。
冬越しできる?
冬でも20℃を維持できるのであればそのまま育てることができますが、香りが薄くなったり変わってきたりします。
基本的には毎年春に種や苗から新たに育てるようにしましょう。しかし、冬でもフレッシュなバジルが手に入るのに、処分してしまうことはないと思います。冬越しできる環境が整っているのであれば、春になり、新しいバジルが収穫期を迎えるまでは大事に育ててあげるとよいかと思います。
秋に収穫した種
バジルの花を摘み取らないでいると、そのあと種ができます。その種からバジルを育てることも可能ですが、こぼれだねから育てたバジルは香りが弱くなってしまいます。
ダイエットにいいとされるチアシードと同様、バジルシードも水に浸すと回りがプルプルになるので、ヨーグルトなどに混ぜて柔らかくしてから食べることもできます。
出典: blog.kochan.com
バジルの種を収穫するには、花を咲かせる必要がありますが、花を咲かせてしまうと、肝心のバジルの葉が固くなり、香りが少なくなってしまうので、花穂はなるべく摘み取るようにします。したがって、種を収穫してそこからバジルを増やすことはあまりお勧めできません。
虫!
人が食べておいしいものは、虫が食べてもおいしいのだと思います。ハーブは香りが強いので比較的虫が付きにくい植物ですが、バジルは例外です。葉先にアブラムシが付いたり、青虫が付くことがあるので、毎日の水やりのとき、しっかりとチェックしておきましょう。
アブラムシがついてしまった場合、強めのシャワーで葉の裏表を洗浄するとほとんどが取れます。葉の汚れもとれるので、アブラムシがいなくてもときどきシャワーしてあげると葉が生き生きとしてきます。
それでも残っているアブラムシなどは、ガムテープを手に巻き付けたものでくっつけて取り除くとうまく取れます。
種から育ててみよう!
まず、培養土を使って、種からバジルを育てる方法をご紹介しましょう。ポリポットや育苗ケースに数粒づつ種をまいて、そこから苗を作って、苗を植えつける方法もありますが、直播でも育てることができます。
種まき方法は2通り
種をまいて育てる方法としては、種から苗をつくり、その苗を植木鉢に一本植えて、それを大きくこんもりと育てる方法と、植木鉢に直接たくさんの種をまいて、込みあってきたら少しづつ間引くなどして間をあけていきながら全部まとめて育てる方法の2通りがあります。
一本だけ植える場合は、その一本が大きな株になるように育てます。たくさん蒔く場合は、1本1本はあまり大きくなりませんが、全体としてこんもりと育ちます。
出典: basilist.jp
種まきのしかた
バジルの発芽率はとても良いので、どのような蒔き方をしても、温度が20℃以上あればちゃんと発芽してくれます。
蒔きたいところに土を控えめに入れてからその上にパラパラと種をまき、さらにその上に土をかぶせます。バジルは光と温度がないと発芽しないので、上からかぶせる土はうっすらと蒔く程度でOKです。上から水がやれるように、鉢の一番上までいっぱいいっぱい土を入れないようにします。この鉢と土の間を「ウォータースペース」と言います。
種まきするときの水やり
いきなり上から強い水流で水やりすると、種が流れて鉢のふちに寄り固まってしまいます。そうならないために、種を蒔く前に、鉢に入れた土に水をたっぷりと与えて土をあらかじめ湿らせておきます。その上に種をまき、うっすらと土をかぶせた上で、優しくほんの少し水やりすれば種が寄ってしまうことがありません。
どのくらいで芽が出るの?
順調にいけば、種まきしてから7~10日程度で発芽します。土の表面が乾かないように水切れに注意してください。日当たりの良い場所で、朝晩水やりしましょう。
大苗に育てる場合は、本葉が出たら1つのスペースに2~3程度の苗を残して他は間引きます。抜くのではなく、茎のところでカットして間引きます。直播する場合は、混みすぎていなければそのままにしておきます。
出典: takamin-life.com
ベランダで育てよう!
バジルは日当たりを好むので、ベランダで栽培するのもおススメです。室内栽培よりも虫が多くついてしまいやすいのが欠点ですが、収穫量は別格です。地植えすることもできます。
屋外でバジルを育てる場合は、特別に気をつけなくてもとてもよく育つので、初心者の方でも安心してチャレンジできます。
プランターで育てたら
プランターに苗を植え付ける場合、株間がなるべく広くなるように植え付けます。プランターであれば2~3株植え付けることができ、肥料と水切れをしなければぐんぐん育つので、寒くなるまでの間、たっぷりバジルを収穫することができます。草丈が20cmくらいになったら摘心します。育ったら摘心することを繰り返していくと、たくさん収穫ができます。アブラムシは柔らかい芽先を好むので、アブラムシが繁殖する前に収穫してしまいましょう。
出典: blog.goo.ne.jp
直播でバジルを育てる場合、植木鉢でもプランターで育てられます。密植えすると一本一本は大株には育ちませんが、それはそれでかわいらしい育ち方になります。収穫量はどちらがより良いとは言い切れないものがあります。
バジルは肥料を好むので、しっかり肥料と水やりを行うことで無理なく育てられます。
ベランダ栽培の時の注意
2階以上であってもアブラムシなど虫はいつの間にかやってきます。高層階だから大丈夫ということはないので、虫チェックは欠かさないようにしましょう。
日当たりのいい場所に置くようにしますが、避難経路などをふさがないようにしてください。ベランダ栽培であれば、鉢皿などは置かないほうがかえって管理がしやすくなりますが、鉢底から流れ出た水が階下にこぼれ落ちたりすることがないよう注意しましょう。
出典: onion.cocolog-nifty.com
有機肥料はにおいが大変きついものが多く、路地植えで使用する場合も、住宅地では使用するとき気を遣うものです。一袋買っても一度に使い切るわけではないので、残った肥料の口はしっかり縛り、においが漏れ出ないように注意してください。追肥で使用するとき、土を少し掘って、その穴の中に肥料を入れ、その上から土をしっかりかぶせておくと漏れ出るにおいが軽減できます。ベランダ栽培する場合はにおい漏れに十分注意してください。
いっぱい収穫できます
夏になると、暑さでぐったりしてくる植物が多い中、バジルは元気いっぱいどんどん大きくなっていきます。毎日葉を摘み取っても次々生えてきます。自分で育てたバジルなので、農薬の心配をせず生食も可能です。
出典: ichigo.otemo-yan.net
バジルの育て方・日常管理 収穫方法
上手なバジルの葉の摘み取り方を、『上田広樹』さんが動画で詳しく説明されています。
『バジルの育て方・日常管理 収穫方法2』では、徒長してきてちょっと寂しげになったバジルの葉の摘み方が紹介されています。まだまだ収穫できるようにする方法なので、とても役立ちます。
バジルの育て方・日常管理 収穫方法2
水耕栽培のススメ
最近、家庭で簡単にでき、土を使わないので土の処分に困らないし、虫が付きにくいということから、自宅で水耕栽培を行っている人が増えています。「水耕栽培」というとLEDを使った本格的なキットが連想されますが、キッチンの片隅で水につけたねぎの切れ端を育てることも水耕栽培です。
バジルの水耕栽培スタート
植物はかわいがって世話をしてあげると、それに応えるようにけなげに成長してくれます。そばに緑があるのはとても自然なことだと思います。買ってきたバジルの葉先を水につけていたら根が出てきて成長したような気がしたら、それはもう、水耕栽培に成功していると言えます。
水耕栽培に使う水
水耕栽培では土の代わりに規定の濃度に水で薄めた肥料を使います。肥料は液体肥料と固形肥料がありますが、どちらでも規定の濃度に薄めて使えば問題ありません。実際のところ生育は悪くなりますが、水だけでもある程度は植物は育ちます。光合成することで懸命に育ってくれます。
水はずっと置いていると腐ります。腐ると植物にもよくありません。水を腐らせるようなことにさえならなければ、バジルは水しかなくてもある程度は育ってくれます。丈夫な育てやすい植物です。
植物は根でも呼吸する
植物は根でも呼吸しています。水耕栽培で長く育てていくためには、根をすべて水中につけてしまっていると、根が腐ってくるので、ある程度根が伸びて来たら、根の一部が空気にふれているようにします。空気に触れているのは根の先のほうではなく、茎に近いほうです。
出典: puyo.exblog.jp
前述のバジルの葉先を水に挿しているような栽培方法の場合、根の一部を空気に触れさせておくのは難しいですが、水を頻繁に変えてやり、ときどき水に浸かっている部分や根の周りを優しく水洗いしてぬめりが出ないように気を配ることで根の一部が空気中に出ていなくても長く栽培していくことも可能になります。
種から育てる水耕栽培
バジルの種は発芽率が高いので、種から育てて水耕栽培することも難しくありません。安い種でも変わりがないので、ぜひ挑戦してみてください。身近なところで植物が育っていくのを観察することはとても楽しい経験です。
種まき
スポンジを3cm角くらいに切り、水を含ませておき、その上に種を3粒ずつくらい蒔いておきます。三粒では不安だと思う時は、それを3セットほど用意しておくといいでしょう。スポンジは何でもよいのですが、なるべく密ではないものが向いています。ぎゅっとしまったメラミンスポンジのようなものの場合根がうまく伸びていけないからです。そのスポンジを水に浮かべておきます。2週間ほどで発芽します。
出典: blogs.yahoo.co.jp
はじめの容器はプリンの空き容器でも何でも構いません。水が切れないように注意することがポイントです。種は自分で発芽するための養分を持っているので、肥料は必要ありません。根が10cm、茎が4cmくらいになったら植え替えです。
ペットボトル植木鉢に苗植え
出典: hekotareb.seesaa.net
ペットボトルの上側を1/3位でカットし、下側に液肥を入れ、飲み口側を下に向けて重ねておきます。飲み口の中に育てた苗の根を通しいれて、スポンジを飲み口に挿してあげれば苗植えは完了です。苗がぐらつくときはスポンジの切れ端を適宜詰め込んでしっかりと固定してあげましょう。根が、液肥に完全に水没せず、先が液面より下になるように液量を調整し、水が少なくなると足すようにしながら、1週間に一回は水を取り替えるようにします。
ペットボトル栽培の注意点
液肥に藻が生えたりしないように、液肥の周りは遮光しておくようにしましょう。アルミホイルやウレタンシートなどを巻き付けておくのがおすすめです。おしゃれな植木鉢を鉢カバー代わりにしてもいいですね。
出典: photozou.jp
根も呼吸しているので、根の一部が空気中にあるように水量を調整しましょう。水が腐らないように、水替えはある程度まめに行いましょう。液肥の濃度は肥料によって異なるので、肥料に書かれている適量を守るようにしましょう。
苗から育てる水耕栽培
一般に販売されている培養土に植え付けられた苗を水耕栽培することができます。水耕栽培専用のものを使う必要はありません。種まきする手間が省け、明日からも収穫できる便利さがあります。
出典: item.rakuten.co.jp
土を洗い流そう
ポリポットからバジルの苗を抜き取り、簡単にほぐせるような土は手で取り除いておきます。水を入れたバケツの中でやさしく根をほぐし、土を落とします。このとき傷んだ根は取り除いておきます。きれいに土を落としたら流水で洗います。
ポリポットを外すとき、手のひらを下に向けて広げて、中指と薬指の間に苗の株元をやさしく挟み、ひっくり返してポリポットを上にして、反対の手でポリポットを引っ張って外します。苗を握って引き抜いてはいけません。
植え付けしよう
根がきれいになったら、種から育てたバジルと同じようにペットボトル植木鉢を作り、飲み口から根を差し込んで、グラグラしないように、株元をスポンジを詰め込んで固定します。液肥の水位は根の一部が空気中にでるような位置にするのは同じです。
切り取った葉先も植え付けよう
出典: blog.kimagure-life.com
切り取った葉先を水栽培していて根が出たものも、苗をペットボトル植木鉢に植え付けるのと同じ要領で植え付けることができます。株元をスポンジを詰め込んでこていして、ぐらつかないようにします。
栽培上の注意点は種から育てる場合も苗から育てる場合も水耕栽培は同じです。根が空気に触れる部分を残して液肥を保つこと、十分な日当たりを確保することが大切です。たくさん収穫するために摘心したり上手に葉を摘み取るといったことは、培養土に育てる場合と同じです。上手に育ててたくさん収穫してください。
バジルは、古代ギリシアでは王侯貴族の香水や薬に使われていたことから「王様のハーブ」と呼ばれていました。
「バジル」は英語名、「バジリコ」はイタリア語名です。バジルには和名もあって、「めぼうき」と呼ばれていました。バジルは本来は多年草ですが、日本では一年草として扱われています。インド・熱帯アジア産のハーブです。
出典: okimasa.blog.so-net.ne.jp
現在、日本国内で広く流通しているのは、画像のスイートバジルです。
日本国内で一般に「バジル」として流通し、食用に使われているのは「スイートバジル」です。しかし、実際はバジルにはおよそ150種類の栽培品種があります。イタリア料理で使われるバジルは、スイートバジルとジェノベーゼバジルが主流です。
出典: rindiary.exblog.jp
■ジェノベーゼバジル(ジェノバ・バジル)
「イタリアンクラシコ」とも呼ばれます。
ジェノベーゼソースに使う本来のバジルはこちらのジェノベーゼバジルです。葉の形がスイートバジルとは若干異なります。バジルペーストを作るのに最適とされています。
開花後も葉の風味が落ちない品種です。
イタリア料理の人気によって広く普及してきたバジルですが、かつて日本でも、「目箒(めぼうき)」と呼ばれて、水で浸した種で目に入ったごみを取り除いていました。日本でも古くから生活の中に密着していたハーブでした。
西洋では神聖なハーブと呼ばれるホーリー・バジル(セイクリット・バジル)は、インドではトゥルーシー(比類なきもの)と言われているハーブです。空気を清め、優れた薬効を持ち、万病に効くといわれています。体を温め、浄化してくれます。トゥルーシー茶として世界中で愛飲されています。
インド風水学で最強の吉兆植物と言われているのは、このホーリーバジルを指しています。
出典: tubokusa.com
バジルの花言葉は『好意』『好感』です。
バジルは香りも強く、精神高揚効果があり、食欲増進、消化促進効果も期待でき、心身の疲労回復にも効果があるとされています。世界中で愛され、大切に扱われていたバジルは、フレッシュな香りで癒してくれるだけでなく、幸せの運び手になってくれます。
バジルは品種が多く、それぞれの栽培方法には違いのある部分もあり、全部について論じきれません。
一般的に日本において「バジル」として、食用として広く愛用され流通しているのはスイートバジルなので、ここではスイートバジルについて紹介していきましょう。
バジルの種まき時期は4~6月とされています。バジルの発芽温度は20℃と高めです。寒さで枯れる一年草として扱うハーブなので、育てる地域の温度条件によって、種まき時期を調整する必要があります。遅霜がおりて枯れてしまうことがあるので、十分暖かくなってから種まきしましょう。
寒くなると枯れてしまうので気温が20℃以下になるまで繰り返し収穫することができます。
バジルの種は100均でも販売されています。ダイソーで二袋100円です。
苗も100円前後からホームセンターや園芸店で販売されています。葉がしっかり茂りながら、葉と葉の間隔が短めで、茎が太めの、下のほうの葉が黄色くなっていないような苗を選びましょう。
フレッシュハーブとしてスーパーの野菜売り場でも売られているバジルの枝葉を水に挿しておくと根が出てきます。
それを培養土に植えたり水栽培したりするとぐんぐん育つので、どんどん葉を収穫することができます。
バジルは乾燥したものより、生のもののほうが香りが強いので、料理に使って余った枝葉は、刻んでおくより、育てて増やしてみましょう。
バジルはインド・熱帯アジア産のハーブなので、暑さに強いハーブです。乾燥には弱いので、水切れすることがないように、夏場は特に注意が必要です。水切れすると枯れてしまうのでたっぷり目に水やりしましょう。ただし、鉢皿などに水をためると根腐れするので、鉢皿にたまった水は捨てましょう。
日当たりの良い場所で育てるとよく育ちますが、室内にずっと置いていたものを夏の直射日光のもとに急にさらすと葉やけしたり、場合によっては枯れてしまうので、室内栽培のものを外に出すときは徐々に慣らしていきましょう。
ハーブは一般的に多肥を嫌うものが多いのですが、バジルは肥料を切らさないほうがたくさん葉を茂らせてくれます。液体肥料を与える場合は、1週間に1回ずつ与えるようにしましょう。緩効性の固形肥料を与えても効果的です。
食べるものだから、有機肥料をと考える方も多いかと思います。有機肥料はにおいが強く虫を呼び込みやすいので、室内栽培以外の方法で育てるときに用いるようにして、虫のチェックをしっかり行うようにしましょう。
バジルが20cmくらいまで育ってきたら、芽先を大胆にカットしましょう。下から3節目くらいで葉の上を切り取ります。摘心することで、そこからわき芽が複数でてきます。そのわき芽も伸びてきたら摘心すると、やはり複数のわき芽がでてくるので、こんもり茂ったバジルに育てられ、葉の収穫量がUPできます。
大胆に切ると、わき芽がほんとうにでてくるかどうか心配になるかと思います。この辺かな、と思う葉の付け根を見てください。そこに、小さな芽がついているはずです。それがわき芽になるので、芽がついている葉の上の部分の茎を切ればOKです。
NHK『趣味の園芸』でもおなじみの寄せ植え作家『上田広樹』さんの摘心のし方の動画があります。切っているのは今回はバジルではありませんが、とても分かりやすい説明なので、参考になります。
摘芯(てきしん)とは?
明るい日差しがたっぷりと入るような場所で育てるようにしましょう。室内でも十分生育ができますが、日当たりが悪いと生育が悪くひょろひょろとしやすくなってしまいます。置き場所はよく日が当たる場所を選んでください。
寒くなると枯れてしまうバジルなので、温かい室内であれば、より長くフレッシュハーブを楽しむことができます。花が咲いた後は葉が固くなりやすいので、なるべく花は咲かせないで摘み取るようにしましょう。
冬でも20℃を維持できるのであればそのまま育てることができますが、香りが薄くなったり変わってきたりします。
基本的には毎年春に種や苗から新たに育てるようにしましょう。しかし、冬でもフレッシュなバジルが手に入るのに、処分してしまうことはないと思います。冬越しできる環境が整っているのであれば、春になり、新しいバジルが収穫期を迎えるまでは大事に育ててあげるとよいかと思います。
バジルの花を摘み取らないでいると、そのあと種ができます。その種からバジルを育てることも可能ですが、こぼれだねから育てたバジルは香りが弱くなってしまいます。
ダイエットにいいとされるチアシードと同様、バジルシードも水に浸すと回りがプルプルになるので、ヨーグルトなどに混ぜて柔らかくしてから食べることもできます。
出典: blog.kochan.com
バジルの種を収穫するには、花を咲かせる必要がありますが、花を咲かせてしまうと、肝心のバジルの葉が固くなり、香りが少なくなってしまうので、花穂はなるべく摘み取るようにします。したがって、種を収穫してそこからバジルを増やすことはあまりお勧めできません。
人が食べておいしいものは、虫が食べてもおいしいのだと思います。ハーブは香りが強いので比較的虫が付きにくい植物ですが、バジルは例外です。葉先にアブラムシが付いたり、青虫が付くことがあるので、毎日の水やりのとき、しっかりとチェックしておきましょう。
アブラムシがついてしまった場合、強めのシャワーで葉の裏表を洗浄するとほとんどが取れます。葉の汚れもとれるので、アブラムシがいなくてもときどきシャワーしてあげると葉が生き生きとしてきます。
それでも残っているアブラムシなどは、ガムテープを手に巻き付けたものでくっつけて取り除くとうまく取れます。
まず、培養土を使って、種からバジルを育てる方法をご紹介しましょう。ポリポットや育苗ケースに数粒づつ種をまいて、そこから苗を作って、苗を植えつける方法もありますが、直播でも育てることができます。
種をまいて育てる方法としては、種から苗をつくり、その苗を植木鉢に一本植えて、それを大きくこんもりと育てる方法と、植木鉢に直接たくさんの種をまいて、込みあってきたら少しづつ間引くなどして間をあけていきながら全部まとめて育てる方法の2通りがあります。
一本だけ植える場合は、その一本が大きな株になるように育てます。たくさん蒔く場合は、1本1本はあまり大きくなりませんが、全体としてこんもりと育ちます。
出典: basilist.jp
バジルの発芽率はとても良いので、どのような蒔き方をしても、温度が20℃以上あればちゃんと発芽してくれます。
蒔きたいところに土を控えめに入れてからその上にパラパラと種をまき、さらにその上に土をかぶせます。バジルは光と温度がないと発芽しないので、上からかぶせる土はうっすらと蒔く程度でOKです。上から水がやれるように、鉢の一番上までいっぱいいっぱい土を入れないようにします。この鉢と土の間を「ウォータースペース」と言います。
いきなり上から強い水流で水やりすると、種が流れて鉢のふちに寄り固まってしまいます。そうならないために、種を蒔く前に、鉢に入れた土に水をたっぷりと与えて土をあらかじめ湿らせておきます。その上に種をまき、うっすらと土をかぶせた上で、優しくほんの少し水やりすれば種が寄ってしまうことがありません。
順調にいけば、種まきしてから7~10日程度で発芽します。土の表面が乾かないように水切れに注意してください。日当たりの良い場所で、朝晩水やりしましょう。
大苗に育てる場合は、本葉が出たら1つのスペースに2~3程度の苗を残して他は間引きます。抜くのではなく、茎のところでカットして間引きます。直播する場合は、混みすぎていなければそのままにしておきます。
出典: takamin-life.com
バジルは日当たりを好むので、ベランダで栽培するのもおススメです。室内栽培よりも虫が多くついてしまいやすいのが欠点ですが、収穫量は別格です。地植えすることもできます。
屋外でバジルを育てる場合は、特別に気をつけなくてもとてもよく育つので、初心者の方でも安心してチャレンジできます。
プランターに苗を植え付ける場合、株間がなるべく広くなるように植え付けます。プランターであれば2~3株植え付けることができ、肥料と水切れをしなければぐんぐん育つので、寒くなるまでの間、たっぷりバジルを収穫することができます。草丈が20cmくらいになったら摘心します。育ったら摘心することを繰り返していくと、たくさん収穫ができます。アブラムシは柔らかい芽先を好むので、アブラムシが繁殖する前に収穫してしまいましょう。
出典: blog.goo.ne.jp
直播でバジルを育てる場合、植木鉢でもプランターで育てられます。密植えすると一本一本は大株には育ちませんが、それはそれでかわいらしい育ち方になります。収穫量はどちらがより良いとは言い切れないものがあります。
バジルは肥料を好むので、しっかり肥料と水やりを行うことで無理なく育てられます。
2階以上であってもアブラムシなど虫はいつの間にかやってきます。高層階だから大丈夫ということはないので、虫チェックは欠かさないようにしましょう。
日当たりのいい場所に置くようにしますが、避難経路などをふさがないようにしてください。ベランダ栽培であれば、鉢皿などは置かないほうがかえって管理がしやすくなりますが、鉢底から流れ出た水が階下にこぼれ落ちたりすることがないよう注意しましょう。
出典: onion.cocolog-nifty.com
有機肥料はにおいが大変きついものが多く、路地植えで使用する場合も、住宅地では使用するとき気を遣うものです。一袋買っても一度に使い切るわけではないので、残った肥料の口はしっかり縛り、においが漏れ出ないように注意してください。追肥で使用するとき、土を少し掘って、その穴の中に肥料を入れ、その上から土をしっかりかぶせておくと漏れ出るにおいが軽減できます。ベランダ栽培する場合はにおい漏れに十分注意してください。
夏になると、暑さでぐったりしてくる植物が多い中、バジルは元気いっぱいどんどん大きくなっていきます。毎日葉を摘み取っても次々生えてきます。自分で育てたバジルなので、農薬の心配をせず生食も可能です。
出典: ichigo.otemo-yan.net
バジルの育て方・日常管理 収穫方法
上手なバジルの葉の摘み取り方を、『上田広樹』さんが動画で詳しく説明されています。
『バジルの育て方・日常管理 収穫方法2』では、徒長してきてちょっと寂しげになったバジルの葉の摘み方が紹介されています。まだまだ収穫できるようにする方法なので、とても役立ちます。
バジルの育て方・日常管理 収穫方法2
最近、家庭で簡単にでき、土を使わないので土の処分に困らないし、虫が付きにくいということから、自宅で水耕栽培を行っている人が増えています。「水耕栽培」というとLEDを使った本格的なキットが連想されますが、キッチンの片隅で水につけたねぎの切れ端を育てることも水耕栽培です。
植物はかわいがって世話をしてあげると、それに応えるようにけなげに成長してくれます。そばに緑があるのはとても自然なことだと思います。買ってきたバジルの葉先を水につけていたら根が出てきて成長したような気がしたら、それはもう、水耕栽培に成功していると言えます。
水耕栽培では土の代わりに規定の濃度に水で薄めた肥料を使います。肥料は液体肥料と固形肥料がありますが、どちらでも規定の濃度に薄めて使えば問題ありません。実際のところ生育は悪くなりますが、水だけでもある程度は植物は育ちます。光合成することで懸命に育ってくれます。
水はずっと置いていると腐ります。腐ると植物にもよくありません。水を腐らせるようなことにさえならなければ、バジルは水しかなくてもある程度は育ってくれます。丈夫な育てやすい植物です。
植物は根でも呼吸しています。水耕栽培で長く育てていくためには、根をすべて水中につけてしまっていると、根が腐ってくるので、ある程度根が伸びて来たら、根の一部が空気にふれているようにします。空気に触れているのは根の先のほうではなく、茎に近いほうです。
出典: puyo.exblog.jp
前述のバジルの葉先を水に挿しているような栽培方法の場合、根の一部を空気に触れさせておくのは難しいですが、水を頻繁に変えてやり、ときどき水に浸かっている部分や根の周りを優しく水洗いしてぬめりが出ないように気を配ることで根の一部が空気中に出ていなくても長く栽培していくことも可能になります。
バジルの種は発芽率が高いので、種から育てて水耕栽培することも難しくありません。安い種でも変わりがないので、ぜひ挑戦してみてください。身近なところで植物が育っていくのを観察することはとても楽しい経験です。
スポンジを3cm角くらいに切り、水を含ませておき、その上に種を3粒ずつくらい蒔いておきます。三粒では不安だと思う時は、それを3セットほど用意しておくといいでしょう。スポンジは何でもよいのですが、なるべく密ではないものが向いています。ぎゅっとしまったメラミンスポンジのようなものの場合根がうまく伸びていけないからです。そのスポンジを水に浮かべておきます。2週間ほどで発芽します。
出典: blogs.yahoo.co.jp
はじめの容器はプリンの空き容器でも何でも構いません。水が切れないように注意することがポイントです。種は自分で発芽するための養分を持っているので、肥料は必要ありません。根が10cm、茎が4cmくらいになったら植え替えです。
出典: hekotareb.seesaa.net
ペットボトルの上側を1/3位でカットし、下側に液肥を入れ、飲み口側を下に向けて重ねておきます。飲み口の中に育てた苗の根を通しいれて、スポンジを飲み口に挿してあげれば苗植えは完了です。