オリーブは古代から人々の生活にかかせない植物でした。旧約聖書の「ノアの方舟」では、ノアが大洪水を逃れるために作った舟から一羽のハトを放ちます。戻ってきた鳩はオリーブの枝をくわえていました。これを見たノアは水が大地から引き始めたことを知るのです。以後、鳩とオリーブの枝は「平和の象徴」となりました。
バラエティーに富んだオリーブの品種
オリーブオイルの香りや味わいはどれも同じではありません。フルーティーだったりスパイシーだったり。ナッツの香りがしたりするものもあります。それはオリーブには様々な品種があり、栽培されている地域や国によっても違うからなのです。さらに生産者のブレンドによって個性豊かなオリーブオイルが生まれています。
神話の中のオリーブ
女神アテナと海の神ポセイドンです。アテナは鉾を持ち傍らにオリーブの木、ポセイドンは槍を持ち後ろに馬が描かれています。
ギリシャ神話で、アテネの地をめぐって女神アテナと海の神ポセイドンが争っていた時、主神ゼウスは民に良い贈り物をしたほうに土地を与えると言いました。ポセイドンは清水を湧かせ、アテナはオリーブの木を生えさせました。そして勝利したのはアテナだったのです。この日からオリーブの木は「勝利の象徴」となりました。
オリーブ栽培のはじまりは?
栽培化の起源はギリシャだといわれる事が多いのですが、実はヨルダン川の渓谷と言われています。そしてその栽培はギリシャ文明よりはるかにさかのぼる時代に確立されていたようです。また地中海沿岸での栽培が飛躍的に伸びたのは、オリーブが痩せた土地でも生育できる丈夫な木だからということです。
オリーブと地中海
オリーブは、太陽が大好きで乾燥にも強いモクセイ科の常緑樹です。地中海地方は年間を通して日照時間が長く冬も暖かい。オリーブの栽培には最適です。春に白い花を咲かせ夏に実をつけます。実は強い日差しを浴びて次第に色を濃くして油を蓄えていきます。
オリーブオイルの壺「アンフォラ」
オリーブオイルは食用だけでなく薬や化粧品、燃料としても使われており、大変貴重なものでした。詩人ホメロスは「液体の金」と表現したほどです。そのためオリーブオイルの輸送には護衛船がついていたそうです。
オリーブの冠
主神ゼウスにささげるオリンピア(現代のオリンピックの元)では、勝者に与えられる冠はクレタ島のオリーブの枝で作られたオリーブ冠が使われました。これを月桂冠とするのは誤りです。またオリンピアの永遠の炎もオリーブオイルから作られたものだそうです。
オリーブの伝来と小豆島
日本へのオリーブの伝来は安土桃山時代、ポルトガル人宣教師からだという説と江戸時代に入ってからだという説があり、不明です。明治以降、何度も栽培を試みましたがなかなかうまく行きませんでした。しかし、明治41年、地中海の気候によく似た小豆島での栽培に成功します。いまでも日本のオリーブ生産の中心地となっています。