皆さんのお宅には「神棚」をお祀りしていますか?一般的には自宅を新築した際や増改築、会社などの事務所開き、結婚・出産、入学など、何か新しいことを始めるときに初めてお迎えするという方が多いようです。また、厄年などの厄払いにお祀りすることも多いとか。そんな「神棚」にまつわる基本知識をお伝えしていきましょう。
神棚には正しくお神札を祀りましょう
神棚について
「神棚」は神さまをお祀りするところです。「神様を祀る」ということは、家に神様をお迎えするということになります。神社に出向いてお参りすることと同じ意味を持つ、家庭やオフィスの中の小さな神社という意味です。神棚を日々お参りすることは、毎日の感謝の気持ちや願いごとをお神札を通して神様にお伝えすることで、日々そのご加護をいただくことにもつながります。
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「神棚」は神さまを祀る小型のお宮をいいます。宮形(みやがた)とも神殿(しんでん)ともいわれます。神棚には、さまざまな種類のものがありますが、伊勢神宮の社殿の形式である「神明造り(しんめいづくり)」が一般的な形です。ほかに屋根を除いた箱宮型もあります。
また屋根の形には、高さに違いがなく一直線の通し屋根のものと、中央が高く両脇を低くした屋根違いのものがあります。
神棚の種類も形も現代では様々です。伝統受け継がれた神棚もあれば、最近の住宅事情からモダンなものからシンプルなデザインまで種類も豊富になっているようです。古来より現代へと受け継がれる神棚からすれば様々なデザインには賛否両論もありますが、一番大切なことは「お祀りする」という気持ちです。
神棚を選ぶときはどのくらいの大きさにするかも重要です。部屋の広さに応じて、また天井までの高さを測り、これにふさわしい大きさのものを選ぶことが大切です。お供えや榊立てなどを載せるスペースも考慮しなければなりません。ほかにも神棚をお祀りするのに必要なものは以下のとおりです。
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毎日のお供えに必要な「神具セット」
神具で必ず必要となるのは、「榊立て」をふたつ、「お塩の皿」を神様の数だけ、またお水とお神酒の容器もそれぞれ神様の数だけ用意します。それにロウソク立てをふたつ、これは必要となります。セットで販売されているものもあるので、今では購入しやすくなっています。
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神棚に必要不可欠な「しめ縄」と「紙垂」
「しめ縄」も飾りつけます。神棚に向かって右側に太い方を、左側に稲穂をむけて飾ります。しめ縄は一年に一度は交換するべきものなので、一番手に入りやすいお正月前に交換する方が多いです。これらは神棚の空間を神聖なものにするためには欠かせないものなので用意しましょう。
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神棚を上部に取り付ける際の「棚板」
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マンションやアパートに住んでいて上階に部屋がある場合や二階建ての住宅の一階部分に神棚を設置する場合に、神棚の上の天井部分にこの「雲」という字を貼り付けます。半紙に墨で書くほか、最近は販売もされています。
神様の上を足で踏むようなことがないように、最上階に設置する以外は必要となります。
お神札(おふだ)について
神棚を用意したら次はお神札(おふだ)を受けてお祀りします。一般的に神棚に祀るお神札は神社からいただきます。一度いただいてお祀りしたお神札はずっとそのままお祀りしておくのではなく、半年から一年が経過したら受けた神社にお返しし、また新たなお神札をいただきます。
お神札はどこでいただけばいいの?
神棚に納めるお神札は神社でいただきます。一般的に神棚にお納めするお神札で知られているものはお伊勢様の「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」住んでいる地域の「氏神様」このほかに「特別に崇拝している神様」の三種類です。「天照大御神」は伊勢神宮の内宮の神様で、日本の総氏神様として知られています。
毎年、伊勢神宮を参拝して直接、お神札を頂戴できる方はそのようにしていただいて、どうしても伊勢まで行くことができないという場合には、全国ほとんどの神社でいただくことのできる「神宮大麻(じんぐうたいま)」を購入します。また「氏神様」はお住まいの地域の神様となりますので、もし氏神様がわからないという方は、神社本庁に問い合わせると教えていただけます。
他に特別に崇敬している神社があれば、そちらのお神札もお受けして、神棚にお祀りすることが可能です。もちろん必ず3つということはありませんし、氏神様だけでもいいという意見もあります。ただし、神棚に納める場所やお祀りする順番が決まっています。これは気をつけなくてはなりません。また後に詳しくお伝えします。
お神札(おふだ)のお祀り方
お神札をお祀りする場所
まずは神棚を祀る場所は、なるべく家族皆が集う部屋の、明るく清浄な所にお祀りします。そして高い位置に置かなければいけません。大人の頭上に祀り、手を合わせる際に見上げるようにします。もし天井の低い家の場合には、最低でも人の息がかからない高さ、額くらいの高さは守りましょう。タンスの上に置いている方は、仏壇とは違うので高い位置に祀りましょう。
神棚をどの方角に置いたらいいか、悩む方も少なくないようです。一般的には「東向き」か「南向き」といわれています。ですがこれもさまざまな見解があるようで「向きはどの方角でもさほど問題はない。それより部屋の入り口や窓に向かって置くことで神様が出入りできることが大事」と話す専門家もいらっしゃいます。
特に店舗に神棚を置く場合には、入り口に向かって置くようにと言われています。また、仏壇と向かい合わせになるようには絶対に置いてはいけない、神棚の真下を人が通るような場所にも設置しない、などの注意事項があります。同じ神棚に仏様も一緒に祀るということも避けた方がいいようです。
「仏様も祀りたい」という場合には、神社の神様のお神札を祀った神棚よりも下の位置に、仏様専用の棚をつくりましょう。この場合は決して神様の神棚とは向かい合わせにはならないように配置します。わざわざ棚をつくらなくとも、仏様はタンスの上でも失礼にはあたりません。ただし、清浄な場所にしてください。
仏様を祀る場合には、観音様・菩薩様・お大師様・お不動様などの仏様はすべてお祀りすることも可能です。ただし、違う宗教のものは決して一緒にしないように注意します。例えばキリスト教のものを一緒に納める、などはタブーです。
お神札の種類
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神棚のしつらえが終わったら、次にお神札を宮形に納めることになります。お神札には、伊勢神宮のお神札である「天照大御神」か「神宮大麻(じんぐうたいま)」、住んでいる地域の「氏神さま(地域の神社)」のお神札、そのほかの「崇敬する神社」のお神札を納めます。お神札には納める順番があることに注意しましょう。
写真のように神棚には扉がついています。このお社の扉を「半分ほど」開けておいたほうがいいとのことです。ぴったりと閉じてしまうと神様が出入りできなくなるからとのこと。波動も閉じ込められてしまうし、失礼にあたるとの意見もあります。だからといって前開にすることも失礼になるため、あくまで控えめに。
お神札を納める順番
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こちらが「一社造り」
神棚にお神札を納める順番は、お神札を自宅にお迎えした時系列で並べるという方法もあるようです。また崇拝している神社から並べるという方法でもいい、という意見まであります。神棚の種類によって並べ方や重ね方も変わってきますが、まずは一般的な順番からご説明します。
まずはお神札が一枚の場合
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「一社造り」とは、お神札を納める場所が1カ所のみの神棚のことです。この神棚では、お神札を複数いただいている場合、重ねてお納めすることになります。一番手前、表面に見えるようにお納めするのは「天照大御神」か「神宮大麻」となり、その後ろに「氏神さま」、そしてその後ろに「崇敬する神社」という順番にお神札を重ねて納めていきます。地域によってはこの順番を変えるところもあるようです。
お神札が二枚の場合
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こちらが「三社造り」
もしふたつのお神札を祀りたい場合は、一社造りをふたつ並べるのではなく、三社造りを選んで二つ祀るようにします。祀る順番は「一社造り」と同じように、まずは「天照大御神」「神宮大麻」を中央に、次に向かって右側に「氏神様」をお祀りして、向かって左側の3番目は開けても構いません。
お神札が三枚の場合
お神札が3枚の場合は、「三社造り」の3つある扉にそれぞれ納めていきます。三社造りの場合は中央が最上位、向かって右が2番目、向かって左が3番目となります。一般的には、中央に「天照大御神」か「神宮大麻」をお祀りして、向かって右側に「氏神さま」、向かって左側に「その他の崇敬する神社」の順番でお神札を納めることになります。
お神札が四枚の場合
お神札が4枚になった場合、どこにお祀りすればいいかということですが、これはいただいたお神札の順番も関係してきます。先にいただいたお神札を高い位にお納めします。もし順番がわからない、また同時期に4枚のお神札をいただいたというならば、3枚の納め方と同様にまずは3枚を納めます。
残りの4枚目のお神札ですが、どうしてもお社に入れて差し上げたいという場合には、一社造りのお社を新しく購入して、先にある三社造りのお社の「左側」に配置します。先の神棚に並べて置いても構いません。必ず左側に置きます。もしお社は増やせないというのであれば、今置いてある左側のお神札の端に立てて置きます。
お神札が五枚以上の場合
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こちらは「五社造り」
お神札を5枚以上お祀りしたい場合、「五社造り」のお社もあります。五社造りの場合は真ん中の3つには三社造りと同様の順番でお祀りいただいて、4番目は右端の扉部分に、5番目を一番左端にお祀りします。三社造りに5つのお神札をという場合には、左端に立てて置いていきます。
この場合、5枚目のお神札は、左端に立てて置いた4枚目に重ねていくことになります。すでに納めている3箇所のお神札には決して重ねてはいけませんが、三社造りのお社に入っていない左端に立てかけたお神札には重ねていってもOKです。
神棚にお神札が納まらなくなった場合
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こちらは「七社造り」
神棚には「五社造り」以上に大きいものは「七社造り」もあります。お神札が7枚まではこの七社造りをおすすめしますが、もしお神札の枚数が所持している神棚の宮数以上になってしまって納めることができなくなった場合、それぞれ納める方法があります。
まず「三社造り」で4枚上になった場合、左端に4枚目を立てかけるように置き、5枚以上はその上に重ねていきます。「五社造り」で、6枚以上になった場合、同様に左端に立てかけて置きていきます。「七社造り」でも同様に、左に左にと枚数を重ねて祀っていきます。
お神札にまつわるルールとマナー
お神札の交換時期
お祀りしたお神札は、半永久的には効力があるわけではありません。徐々に失せていくとされています。一般的には半年以上一年間お祀りしたお神札は、いただいた神社にお返しします。神社には「納札所」という古いお神札を納める場所が設けてありますので、そこへ持参します。
古くなったお神札はどうすればいいの?
先にも述べましたが、神社には昨年のお神札やお守りなどをお返しする「納札所」を設けているところがありますので、そこにお返しします。その際は感謝の気持ちをお伝えすることをお忘れなく。もしいただいた神社が遠くて直接お返しすることができない場合は、自宅近くの神社でその旨をおことわりしてしてから納札所にお返しします。
新年に新しいお神札をいただく際にお返しする、という方が多いようです。よく「塩をかけて可燃ゴミに出す」という話も耳にしますが、やはり神様の力が宿っているお神札です。神社にお返しすることが不可能ならば、1月中旬に全国で行われる火祭り「どんど焼き」などの行事でお炊き上げしてもらいましょう。
神棚が無い場合のお神札の祀り方
もし神棚が自宅にない場合、いただいたお神札をどうすればいいのか、よくある質問のひとつです。お受けしたお神札は、自宅などのなるべく家族皆が集うリビングなどの、明るく清浄な場所に「立てて」お祀りします。最近ではさまざまな住宅事情に合わせて、お神札を立てかけられるグッズも販売されています。
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立てかけられるグッズを用いたとしても、必ず大人が見上げられる高さに立てかけてお祀りしましょう。お神札をそのままの状態で立てかける際には、お神札自体には決してピンや画鋲を刺してはいけません。また透明ファイルや袋などに入れてテープなどで貼る際には、ケースの真ん中部分に小さな切り込みを入れて、神様が通る道を確保します。
神棚のお参りをする
神棚はお祀りしてからが大切です。祀ったまま、ほったらかしにしてはなりません。毎日、お世話をしながら手を合わせてお参りしていきます。丁寧にお世話をしていれば、その神社の神様にますますお守りいただけますし、そういう神様が一柱でも自宅にいらっしゃるということは家族にとっても大きな支えとなります。
一般的には毎朝、お供えする物は「米」と「お塩」と「水」です。中にはお神酒も共に供えるべきというところもあります。「お塩」は小皿でふたつ、水とお神酒は専用の器に入れて神様の分だけお供えします。お米は生米ではなく、炊いたものを一番最初にお供えします。
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お供えするものはすべて神様が一番最初で、私たちが食べる前にお供えします。残りものではなく、神様のために用意したものをお供えします。お供え物をしたらろうそくに火を灯しましょう。お参りが終わったら火を消して大丈夫です。また「榊(さかき)」もいつも絶やさないようにします。
お供えする榊は毎月の1日と15日に取り替えるのが一般的とされていますが、枯れてきたらこまめに新しいものと取り替えることも必要です。そのほか、お正月やお祭り、家庭内のお祝い事(結婚、誕生日、七五三など)には、酒や季節の初物などもお供えしてお参りしましょう。
神棚にお供えしたものを頂戴すれば、神様と同様に波動の高いものを口にすることができることになります。体調が悪いときなどは意識して頂戴してみてください。きちんとお世話をしている神棚に祀ってある神様とその家に住む家族は、確実にご縁を結ぶことができるようになるといわれます。皆様も良きご縁をお結びください。
不幸があったときは?
このほかにも神棚について、気をつけなければならないことがあります。神棚を祀っている家庭で家族に不幸が出てしまった場合、すぐに神棚に「目隠し」をしなければなりません。それは白い木綿のような布を神棚の周囲にぐるりと巻きつけるのです。まるでカーテンのように端から端までをぐるりとです。
もし周囲をぐるりと隠すことができない場合には、半紙で正面だけを隠すだけでも構わないとのこと。こうして死の穢れ(神様が苦手とすること)から守るのだそうです。隠す期間ですが、親、配偶者、子どもの場合は49日まで、同居していない親族の場合には33日間続けるのだそう。
ちなみに、同期間は神社への参拝も控えるべき、とのことです。
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毎日のお供えに必要な「神具セット」
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神棚に必要不可欠な「しめ縄」と「紙垂」
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神棚を上部に取り付ける際の「棚板」
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こちらが「一社造り」
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こちらが「三社造り」
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こちらは「五社造り」
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こちらは「七社造り」
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コツ・ポイント
「神棚をお祀りする」というと敷居が高いイメージをずっと持ってきましたが、きちんとルールやマナーを心得れば、家に神様をお迎えして、家庭に小さな神社を設けることができる、ということを再確認することができました。ただし、お祀りしてからの日々のお世話が一番大事ということは、肝に銘じておかなければいけませんね。